百十話 最凶最悪の姉妹
「何だ?何だ??これは!!どういう事だ!!」
突然流れたのは、つい先ほど話した内容と全く同じだ。なぜそんなものが放送されているんだ?それを止めようと集会場に入り2階へと上がる。左右にたくさんドアのある部屋の中の一番手前の右扉を開いた。その部屋には
たくさんの機材とマイクが置いてある。いつもとここで街の様々な場所に取りつけてあるスピーカーを使って緊急クエストなどの放送を行っている。
「お、きたか」
そこにはアリスとテティ、そしてピロンの姿。もちろん全員記憶を取り戻しているようでヌゥルの方を睨むように見ている。
「どういう事だ!なぜこんな事になっている!?」
「教えて欲しいか?ピロピロピロ」
「お前らは記憶を消した。そしてあの変な本も!なのになんで!」
そう言いながら、マイクが取り付けてある机を見ると何やら小さな箱のような機械が置いてある。そこから声が出ているようだ。まるで録音機のようなその機械は会話をずっと垂れ流し続けている。
「お前はあの本に集中しているからおそらくもう一つのポケットにこれが入っていたなんて夢にも思わなかっただろう?」
「ぐっ!!」
「まあ録音機に近しいものらしいが、こっちにもそういうものってあるんだな。なかなかここも興味深いよ」
「あんたの負けよ!!」
テティのその言葉にヌゥルは外に駆け出した。そして近くにいたマブ達マックスヒーローズを見つけると声をかけてアリスについて尋ねてみる。マブは一瞬不思議そうな顔をしたがアリスの事を聞かれて自信満々にアリスについてを語り始めた。
「あいつとの付き合いは長くてなあ!俺の永遠のライバルさ!!なあ?」
「まあ向こうがどう思ってるのでしょうかね」
「もちろん向こうだってライバルだって...っておい!俺とアリスの話をもっと!!!って言ってしまった...何だったんだ?」
マブの話を最後まで聞かずにヌゥルは次の人を探す。ちょうどそこにはカルラとゴーン、それにバニアがいた。
「アリス?ああ、まあなんて言うか...ね?
「まああいづのお陰で助がっだようなもんだがらな。感謝ばじでる」
「そうっスね」
ダメだった。そう思いながらもう数人に聞いてみるが結果は同じ。誰もがアリスを知っていた。半分ヤケになりながらもっと色々な人に聞くが結果は同じだ。うちひしがれるヌゥルにアリス達は、その後を追いかけ「もういいか?まだネタバラシが途中だろう?」と言いながらヌゥルに近づいていく。
「っ!どうやって!」
「これさ」
アリスは腕をまくると何やら黒いペンで文字で書かれていた。「ポケットに入っているものを放送で流せ」と言う文字。記憶をなくしてもそんな行動が取れたのだ。何も覚えてない状態でもそんな文字と謎のポケットに入った物が入っていたらそれに従ってしまう。ヌゥルの意識は本の方に完全に行っていただろうし油断するとピロンはあらかじめ予測してこの仕掛けを施していたのだ。
「ピロン、こっちもダメだったらどうしてたの?」
「まあ?そん時はもうそん時だな」
「くそ!!くそ!!」
「どうするの?アリスもピロンもみんないる。あなたの負けよ」
「くそおおおおお!!!!!!」
「負けてないよ」
その声と共に現れたよく似た2人の少女。その少女達、ミミとネネはアリス達の前に現れてにっこりと笑った。
「お疲れ様、もういいよ」
「ですが!!!」
「あなたは負けたの。それのおかげでやーっとこの子達と遊べる」
「あなた達は..?」
「私たちはまあ...このイベントの仕掛人ってところかな。私はネネ、でこっちは妹のミミ。最恐最悪の姉妹なの」
「何だかわからないけど、アリスにこんな事して許さないんだから!!」
「まだ始まったばかりじゃない。もっと楽しまないとね」
「楽しむ...?」
「今度は私たちと遊ぶんだよ」
そういうとミミはパチンと指を鳴らした。すると街の周りに緑の六角形が並んだバリアのようなものが現れてそれはあっという間に街を覆い尽くした。
「ルールは簡単。私たち2人を倒すだけ」
「それだけ??」
「ええ」
「何だか簡単じゃない」
「ただし」
そういうと、「もちろん普通に戦っても面白くないでしょ?」と続けて指で3を作る。
「ここにいる人たちで戦って3ポイント手に入ったら私たちのどちらかと戦えるってワケ」
「はあ?」
「誰かを倒したら1ポイント!倒されたら-1ポイント!!で、3ポイント手に入れろって事。そして特別ルールで特定の人達を倒したら高ポイント!!ポイントは相手の頭に表示されるから手っ取り早く戦いたいなら高いポイント表示されてるやつを倒すのがいいわよー」
「はあっ!!」
説明の最中にアリスはネネに攻撃を仕掛ける。だがネネの周りに同じような結界が貼られていて攻撃を通さない。何回かやってみるがやはり攻撃を通す事はなかった。
「3ポイントない人が攻撃するとそうなるからね。あとゲームが始まった後にそれをしたら減点させるから。負けてポイントがマイナスになったりそうやって不正に攻撃しようとして−3ポイントになったら外に出て貰う。以上。質問ある?」
「ふざけないで!」
「あーこちらはー質問以外受け付けてませーん」
「っ!ふざけてないで答えてよ!!」
「あ、今の説明はこの中にいる全員に伝わってるからもしかしたらもう狙われてるかもよ?じゃーねえ」
「消えた...何なの...?」
「アリス、頭!!」
そう言うテティにアリスが頭の上を見ると3という数字が出てきている。アリスも先程行言った高ポイントの対象になっていると言うわけか。
「どうするの?」
「仕方がない、早く終わらせるために誰かを倒してポイントを稼ぐしか...」
そんな話をしていると大きな大剣が襲いかかってくる。なんとかそれを避けたが床には大剣がぶつかった痕が残る。その大剣を振るった正体は、ヴェラードだった。ヴェラードは6という数字が浮かんである。ヴェラードはニヤニヤしながらアリスに近づいて行く。
「お前はやっぱり高ポイントだったな。手っ取り早い。お前を倒して早く終わらせるぞ」
「ふざけないで!他の人狙いなさいよ!」
「面倒だしチャチャっと終わらせるぞ」
そう云い剣を構えるヴェラードにはあ、とアリスはため息をついた。