百七話 禁じられた書庫へと潜入せよ!
「ああ、ルナさんとピロンさん...と、えっと」
「アリスって言います。よろしくお願いします」
ピロンと共に受け付けのお姉さんのいる集会場に来ていた。ルナは「何だか面白そう」という理由だけで付いてきたらしい。あの書庫には鍵がかかっていて開けることができない。その鍵も受け付けのお姉さんの後ろにある。もちろん入りたいと言って簡単に入れてくれる場所ではない。前のギルメラの時は状況が状況だたっためいれてくれたが今の状況を説明しても信じてくれないだろう。受け付けのお姉さんをうまく誘導してとってもいいが、周りにはたくさんの人がいる。不審な行動をしておればおそらく誰かしらに指摘されるだろう。
「クエストを受けにきたんですけど、何かオススメはありますか?あのボードに貼ってあるやつで」
アリスがそういうと受け付けのお姉さんはカウンターから出てアリスをボードの方に誘導する。そこでテティの出番だ。テティは下の方からこっそりと入り、ゴミ箱から紙コップを一つ拝借する。そしてその紙コップに入りながらとんでその鍵のある棚のところに着地した。テティぐらいの大きさならとってもバレないだろうという魂胆だ。遠くからでは紙コップが少し動こうが気に求めないだろう。紙コップに隠れながら紙コップを持ち上げる少しずつ手を伸ばす。
「いいですか?」
「あ、いやえっと...」
「どうかなさいました?」
向こうのほうではアリスが必死に時間を稼いでいる。テティの方はまだ取れていないようだ。受け付けのお姉さんはカウンターの方に戻る。アリスは「あ、あぁあ!」と変な声を出し気を引くが受け付けのお姉さんは首を傾げるだけでそのままカウンターに戻ってしまう。カウンターに戻ると鍵の並んだ棚が開いていることに気づく。だがそのまま頭にクエスチョンマークを浮かべてそれを閉めた。そこにはもう書庫の鍵がない事にも気気づかずに...。
「ここか」
書庫の中は書庫というだけあってたくさんの本が並んだ棚がたくさん置いてあった。その中にはとても貴重なものもある。そんなものもあるのだからここに人を入れたがらないのだろう。書庫への道は誰も通らないため、、そこまで行けてしまえは問題ない。
「どうやって探す?」
「うわー!!」
ルナが興味津々にあちこちに移動する。まあルナは放っておいて2人で本を探すことにした。だがこの量の本ではどこを探していいのか全く検討すらつかない。
「どうするの?これ」
「私、ギルメラの事を探したときに見つけた本があったの。記憶についての本でその時はすぐに戻しちゃったけど、まさかあの偶然見つけた本が役立つとはね」
「それはどこにあるの?」
「あっちの方だったはず」
「行こう!!」
「何をしている?」
その突然の声にアリスはビクッと体をさせる後ろを向くとヌゥルが立っていた。アリスたちは「はあー」っと安堵の息を漏らす。
「ああ、あなた...びっくりした」
「驚かせてすみません。何かをお探しですか?もしかして?」
「ええ」
虚なる記憶の情報を探してると伝える。すると「ほお...」という声と共にアリスと一緒に探してくれるという節のことを言ってくれた。だがそれに少し顔をしかめているのがテティだ。
「あんた、隙を狙って記憶を消そうとしてるんじゃないの?こんなあからさまに情報探しに参加して」
「いえいえ!そんな事はないですよ!」
「テティ、あんまりいうのは良くないよ?」
「だって!めっちゃ怪しいじゃない!」
確かに、ここまで怪しいとそう疑いたくもなる。が、確証も無いのにそこまで疑うわけにもいかない。テティはすきしそっぽを向いて歩き出すアリスについていった。少し歩いても左右には本棚が並ぶばかり。その中のカラフルな本には様々なジャンルが背表紙に書かれてる。
「うおおおおおおお!!」
「なに?」
突然の雄叫びに警戒する。ドシドシと
何かがやってくる音がどんどん近づいてくるけど
「まずいですね...番人が来たようです」
「番人??」
そんな話をしていると本棚の隙間から大きな四足歩行の怪物が現れた。それはライオン...なのだが目が点でωのような口。その姿はおぞましいというより可愛らしい。その突如現れた可愛らしいライオンはアリス達を見つけると向かってきた。いくら可愛いとはいえアリスたちの何倍もあるそのライオンに潰されたらひとたまりもない。アリスたちは必死に逃げていく。
「なにあれ!?」
「あれは侵入者用のすーぱー☆らいおん!!こちらに襲いかかってきますが捕まると特に変なことはせず遊ばれます!!」
「なにそれええええ!!ていうかなんでそんな変な名前なのよ!!
「あ?ルナ!」
アリスは目の前のルナを発見する。ルナはすーぱー☆らいおんを見るや否や一目で興味を示してそちらの方へと向かっていく。魔法弾を出しながらライオンと戯れていた。
「今のうちに!!」
アリスたちが走り出すとそれを追うようにらいおんもアリス達を追うように向かってくる。アリスたちはたくさんある本棚を使い姿を隠しながら様子を伺う。あんなでかいのがいたのではうかつに顔も出せない。
「どうする?これじゃあお目当てのもの探せないわよ!?」
「倒すのも可哀想だし...」
アリスは少し考えていい方法を思いついた。そしてそれをテティ達に伝える。2人はあまり乗り気ではなかったがその作戦を実行することにした。結局はあのライオンをどうにかしなければならないのだ。するとアリスはライオンの前に現れて「こっちよ!!」と声をかける。ライオンはドシドシと作戦通りアリスの方へと向かっていきく。アリスは誘導するようにそのライオンを追わせる。しばらく走ったアリスは本棚の間に隠れる。今度はテティが現れ手を叩きながらライオンの木を引く。今度はテティの方へ向かいテティは飛びながらライオンを時々見ていた。
「今度はこっちだ!!」
テティが出てきたかと思えば今度はヌゥルが現れ手を叩きながら誘導する。そして少し走らせるとアリスが再び姿を表す。これを少しの間繰り返しているとだんだんライオンは疲れてきたのか地面に座り込んでしまった。
「よし!!作戦成功!!」
「こうやって何人かで走り回させてば疲れるて無力化できるかと思ったけど、その通りだったわね!!」
「流石です」
「いえいえ」
「あれ?ちょっとアリス?」
先程までへたっていたライオンが尻尾を振りながらヘッヘッヘと犬のように遊んで欲しそうな目で見る。その瞬間アリスたちは一つの案を思いつく。
「テティ、お願い、頑張ってね」
「ちょっとぉ!!丸投げ!?」
テティが逃げるとライオンがテティの方に向かう。ライオンを探していたルナも加わってライオンと遊び始めた。その姿を見ながらアリスが目的の場所へと向かう。少し進み右の方に行くと赤い本が少し出っ張っているもが見える。その本の横の本なのだが、少し高い位置に移動していた。誰かが違うところに入れたのだろうか?アリスは近くの小さめの脚立を持ってきて本棚の前に置き、手を伸ばす。
「あと...もうちょっと...」
そう呟きながら手を伸ばすアリスに突然脚立が倒れ、アリスは後ろに倒れた。手を伸ばしたがその手は本棚には届かなかった。