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百四話 宴の裏に潜む脅威

街の少し先にある倉庫に、3人組が立っていた。ヘントールとアリスを見ていた姉妹だ。倉庫にはもちろん鍵がかかっているが盗み出した鍵を使い中に入る。ここではガチャで使う武器達が所狭しと並んでいる。杖、槍、剣などたくさん並んでいる中で一つの杖を取り出すとこれか、とネネという少女は呟く。本来ならここに見張りがいるはずだがギルメラとの戦いで帰ってきたアリスたちとの宴で誰もいないのだ。



「チョロっ..こんな簡単にいけちゃうのね」



「お姉ちゃん止めようよ...」



「またミミはそんな事言って!!お姉ちゃんに従ってればいいって何回言わせるの??」



「ごめんなさい...」



「この杖は一体??」



「ま、すぐにわかるわよ。行くわよ。ここにいつ戻ってくるかもわからないし」



「ですね」



「そういえば、魔物のあなたはどうして協力してくれるの?」



「人間というのは面白いものでしてね」



「そう」



「何している?お前達!!」



そこにたまたま通りかかった店主が向かってくる。隣には冒険者が2人ほど。見つかってしまったネネとミミは杖と槍を抜いた。

その2人が盗った杖を見て店主は少し驚いたような顔になる。



「おいそれ!!!よりによって何でそれを??危険すぎるから倉庫にしまってたのに!!返すんだ!!」



「あら、それは無理ね」



「ガキのくせに...生意気な!!」冒険者2人が向かっていくがあっという間にやられてしまった。そしてネネとミミはヘントールを連れてその場を離れていった。少し逃げて屋根の上にまで行くと追ってない事を確認し、杖を確認する。杖の情報を見ながらネネは「ふーん」「へえー」と興味深々だ。



「なかなか面白い杖ねこれ。情報程度でここにあると聞いてはいたけど、本当にあったなんて」



「うん...」



「お、来たわね」



そこにアリス達の宴会から抜け出した男が現れる。その男に杖を渡してあれこれとやる事を指示した。



「使い方は見れるから、これ使って頼むわね」



その指示にの後にネネがそういうと、その男はコク、とだけ頷いてアリスたちの宴会の場に紛れていった。



「自分達でやった方が良いのでは?」



「だってめんどくさいじゃない」



「なるほど」



「さて、事が進むまで私たちはその辺で暇を持て余してようかしら」



「そうだね」










さあ、今回の立役者、アリスさんに来ていただきました!!!」



ボルテージは最高潮と言えるほど盛り上がっていた宴は壇上に立ったアリスの登場でさらに高まっていく。木でできた簡易的なステージが用意され、そこにアリスは上がって少し緊張しているのかモジモジしながらステージに立つ。そこにはマイクも用意されていてアリスをたくさんの人たちが見ている。

「ギルメラとの戦い抜いた者達を説明」というていで一人一人説明をしていくという流れにいつのまにかなっていた。



「えーっと...その...」



こういう場面で何を言っていいのか分からないアリスは少し言葉に詰まらせたが一言目を発した。



「えーっと、ご紹介に...何だっけ?まあいいや。アリスです。えー...正直ハルハンデスは強敵でした。でもみんなの力で勝てたと思います」



よく見るとアンバーグが不満そうにそっぽを向いている。おそらくこういうのに立ちたかったかったのだろう。



「えー、皆さんご一緒に!!『アリス!!アリス!!!アリス!!』」



「ええ...」



その司会役の声に合わせてアリスコールが響く。流石に恥ずかしいからかアリスは顔を少し赤くしている。それをテティにつっこまれると、「うるさい」と民衆から目を逸らしながら言った。



「えー、続きまして、マブ...っていうのはどの人だ?」



「はいはいはいはいはぁーーーーーいい!!」



「リーダーマジでか!?」



「流石リーダー」



その呼ばれた名前に勢いよく返事をする。マブを武器が選んだ偶然とはいえ、ギルメラの能力を武器を使って抑えたのは功績といえよう。意気揚々とステージに立つとアルとホーのマブを絶賛する声が聞こえてくる。その言葉にさらに調子に乗ってスーッと息を吸った。



「そう!俺こそがマックスヒーロー...」



「はいお疲れ様でした」



「おい待て!!まだ終わってないぞ!!おい!おい!!おいいい!!」



「えー花火は夜に打ち上がる予定です。皆さん楽しみにしていてくださいね」



「花火かあ...この世界で見れるなんてなあ」



「ああ」



群衆の中の人らはそう口々に言う。今は夕方といった感じだ。まだ酔った勢いのやつもちらほらいる。ヴェラードもその一人で性懲りもなくまたひたすらナンパを続けていた。しばらく経って全員の紹介も終わりまた皆で飲んだり食べたりに戻る。アリスは少し休むため少し遠くの木陰で休んでいた。思ったより食べすぎたようでお腹がはち切れそうなぐらいだ。するとそこにテティがやってくる。



「ここにいた」



「テティ、どうしたの?」



「いや、アリスの顔が見たくなって」



「そうなんだ」



そこから少し会話が途切れる。2人が空を見上げると、空は夕方ということもあって赤く染まっているサーっと風が囁いて涼しい。




「色々...あったね」



テティのその言葉にアリスは少し間を開けて「うん」とだけ答える。そこからまた少し沈黙が起きた。



「大変だ!!!」



向こうから小太りの男が慌ててやってくる。向こう側では何やら騒がしい声が聞こえてくる。男は説明をするよりもアリス達を先にその場所へと向かわせる。するとそこには大きめのツノを生やした妖怪がたくさんあばれていたアリス以外は誰も突いていないようだtまああんだけ食って飲んで騒いでいたし、戦力になる奴はほぼいないだろう。街の冒険者達が戦っているが苦戦を強いられているようだ。



「はあっ!!」



たくさんいる魔物を次々と倒していく。1匹1匹がそこまで強くないためどんどんと倒していく。全部倒した頃には周りの人々から「おおー」というような歓声がわく。全部倒し終わりふう、と言いながらアリスはおでこの汗を拭った。



「何だったの?あれ」



「さあ??」



「でもすごいなやっぱギルメラを倒したのは伊達じゃなかったんだな!!」



「ええ??まあ...」



「何か強さの秘訣ってあるんですか?」



「いや...」



「アリスさんに憧れてるんです!!」



「そうなんですか」



そう言われてもなんて返したらいいのかわからないアリスは困惑の表情を浮かべる

とりあえず愛想笑いをしながらははは...と少しそれっぽく振る舞う。あたりはもう暗くなっていき、そろそろ花火が上がる時間だ。アリス達は暗くなった空を見上げた。






「5、4、3、2、1...」



ネネの秒読みとともに花火が上がる。そしてその花火は上へ上へと行き大きな音を立てて炸裂した。ただ爆発しただけで花火というには少し惜しい感じだが、その姿は綺麗で特に気にならなかった。



「さあ、開始よ」



その声と共にポーンという音が街に響いた。



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