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百話 光が生み出した先へ



「嘘!!嘘よ!!!信じない!!」



「...本当なんだよ」



「うるさいうるさい!!」



何度も同じ言葉を繰り返しアミナはアンバーグが死んだという事実を受け止めようとはせず首を振っていた。その何度も否定を繰り返すアミナにガーディスは仕方がない...と呟いて剣を握りしめた。

アミナも槍を取り出すとアンバーグの方へと向かって行く。槍で突こうとするとその槍はグニャグニャと曲がってガーディスの方へと向かって行く。突然の曲がる槍に翻弄され肩にかすり傷ができてしまった。



「なんだこれ!!」



「私のダーリンは生きている!!!生きてるのよお!!!」




そう言いながらどんどん槍を変な方向へと曲げて行く。しばらく曲がって行った槍はガーディスの方へと向かって行く。こんだけグニャグニャと曲がっていたら流石のガーディスでも軌道が読めずに避けるには難しいだろう。



「くそっ!!」



「この!!大嘘つき!!消えなさい!!!」



攻撃を予測してなんとか避けられてはきたがそれでも何発も攻撃が当たってしまう。



「さあ!!消えて!!消えて!!」



「俺だって悲しいさ!!でも!!!帰ってこないもんは帰って来ないんだ!!」



「嘘!嘘!!」



情緒不安定になっている彼女には何を言っても耳には入って来ない。こうなったら倒して落ち着かせるしかない...そう思い剣を振るった。だがウネウネと蛇のようにうねる槍に阻まれてなかなか攻撃ができない。一方で槍の方は自由に動きながら隙があればガーディスの方へと向かって行く。



「くそ!!」



「あんたは...あんたは...!」



「はああっ!!!」



なんとか間を縫って攻撃をするがその攻撃届かなかった。ガーディスは「仕方ない...」と言い攻撃をせずにそこらじゅうを駆け巡り始めた。



「消えろ!!消えろ!!」



そう言いながらどんどん伸びて行く槍は何回もガーディスを狙って行く。肩、足、頬とヒットはしないものの攻撃がかすっていく。そしてついに槍はガーディスの足を捕らえた。勢いよく足に突き刺さるとガーディスはうっ!という声をあげる。足からは血がダラダラと垂れてきている。



「もう走り回れないでしょ!!」



「っ!!」




槍は一気に仕留めるべくガーディスの方へと向かう。ガーディスは転がりながらも攻撃を避けていった。

ガーディスに当たらなかった槍は岩に当たりピンボールのようにあっちこっちに移動して行っている。



「あはは!これはいい!!終わりね!!!」



ガーディスは何とかアミナの近くまで行くが、足をやられているためここから避けるのは困難だろう。とどめを刺そう槍がガーディスに向かって行く...のだが途中でその動きは止まった。何が何だか分からないアミナは困惑している。



「やっぱりな。そりゃあこんな如意棒みたいに伸びる面白い武器は伸びるのが有限なわけだ」



「じゃあ、まさかこれを狙って!?」



「本当に一か八かだったが何とかなってよかった」



「クッ!!戻れ!!」



そう指示をするとどんどん縮んでいく。だが最大まで伸ばすのにかなりの時間を有したため戻って行くのも同じぐらいの時間が必要だ。アミナが戻すのに時間を食っているのを見てガーディスはその隙をついて攻撃を放った。



「飛燕斬!!!」



「うあああああああ!!!」



アミナはその悲鳴と共に倒れた。そしてしばらくして槍は元の長さに戻って行った。



「くっ...あんたなんて...!」




「落ちつけ!!!」



そう言いながら揉めているとアミナが倒れてしまった。もちろんガーディスに倒す気などさらさらなく偶然そのような形になってしまったのだ。



「えっ...?」



「俺だって悲しい!!その話を聞いた時は沈む気持ちだった!!!だが今は違う!!!俺はこうやって乗り越えてきた!!!」




「はっ!」



「だから!!」



説得に必死になって今の状況がわかってないガーディスはやっと気づいてアミナから退く。アミナは少し顔を赤溜めながら「ふん!」とだけ言ってどこかに行こうとする。ガーディスが呼び止めようとするがその呼びかけにも応答せずそのまま行ってしまった。アミナはガーディスと顔を合わせるのが恥ずかしくなっているなどとは夢にも思っていなかった。



「なんなのあいつ!!なんなの!?」



そう呟きながら赤い顔を恥ずかしそうにアミナは去って行くのだった。






「どうすればいいの...?」



圧倒的な力にアリス達は苦戦を強いられていた。あの攻撃自体は強力な上に抹消する攻撃も行ってくる。なかなか倒せない状況にテティは負けを確信していた。その声が聞こえるまでは。



「あー!いたいたー!みんな何やってんの??」




その無邪気な声はその空間に響き渡る。そしてギルメラを見つけると、何だかとても嬉しそうない声を出しながらギルメラに食いついて興味津々になる。

テティはその瞬間おそらくこの人物が状況を打破してくるのだろうと思っていた。なぜならそれは...。



「ルナ!!お前どこ行ってたんだ??」



「え?ボクはその辺ぶらぶらしてぇー」



ルナはそのケモノの耳を動かして語り出す。彼女なら何とかなるというのは、前にゼロと戦ったときに互角の戦いを見せていた。それも彼女の持つ杖が本当にバグのような強さなのだ。



「あいつと遊んでいいから俺たちを回復してくれ!!」



「え?いいの!?!?」



それを聞くと目を光らせて嬉しそうな顔にんsる。ルナの源はただ楽しいことただ一つだ。それが無いと命令すら聞いてくれないが。逆に言えばそれさえあれば戦ってくれるのだ。



「オーバーヒーリング!!」



そういうと倒れている全員に緑の光がやんわりと降り注ぐ。それを受けた途端に誰もが異常なほどの回復量ですぐに立ち直り戦うことができるようにまでなっていた。



「流石...あのゼロとの戦いで見た時に思ってたけど本当にあの杖は性能がおかしいわね」



「まあ何にしろ戦えるようになったし、あとはギルメラを倒すだけだね」



「アリスあんな奴やっつけちゃって!!」



完全に流れが変わっていた。あの危機的状況から一気に優勢にまでするルナがすごすぎるほどだ。だがギルメラの方もまた攻撃を仕掛けてくる。だがルナの光に包まれているためダメージを受けてもすぐに回復してしまう。それを見たギルメラはまたあの消滅の攻撃をしてくる。しかもそれはルナの方に向けられている。



「まずい!!あいつに向けられたらどうしようもねえ!!」



向かって行く光線に飛び出して行ったのはマブだった。マブがルナを押してルナは救われたのだが、マブは消えて行ってしまった。アリスも「マブ!!!」と叫ぶ。だがそこにはマブの姿はなかった。



「あいつ、誰が厄介か分かってやがる!!お前ら、ルナを護衛しつつ戦え!!」



「分かってる!!」



全員で一斉に攻撃に参加する。たくさんの攻撃を一点に集中させて放たれるとギルメラにも流石に効いているようで悲鳴を上げている。



「いける!いけるぞ!!」



「このまま押し込め!!」



「うおっしゃああ!!!」




その声と共に何度も攻撃は繰り返される。ギルメラも負けじと攻撃をするがルナの力の前では全くと言っていいほど無力だ。

とんでもない回復量で継続的に回復されているためすぐに体力が満タンにまで持って来れる。 



「ウグオアアアアアアア!!!」



そのギルメラの叫びは悲鳴をあげているようだった。このまま行ければもしかしたら...!誰もがその期待を持っていた。

それを見てこの良い感じの状況を鼓舞するように、アリスは大声でこう叫んだ。



「さあ!皆!!あと少しよ!!!最終局面といきましょうよ!!!」



「おおーーー!!」


その声と共に歓声が響いた。


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