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春は物憂い目覚めの季節

作者: 神林 醍醐郎

◯春は物憂い目覚めの季節



静寂と白銀の 美しい季節を


吹き荒ぶ南風が 連れ去ってしまう


純白の雪は 泥を浴びて 黒ずみ


透き通る氷は 日々薄くなり 排水溝に飲まれていく


そうして 奴らが動き出す


土に眠っていたものどもが ここぞとばかりに 這い回る


腹を空かせた蟻どもは 獲物を求めて 殺戮行列


蜂どもは やかましく飛び回り 人を怯えさせ


図々しい蜘蛛は 天井の隅に ねばつく巣を編み上げる


溜息して 空を見れば


小鳥どもが 縄張りを主張して 叫んでいる


カラスは 雪に隠されていた ゴミ袋を突き


腐った中身を 路上に ぶちまける



春の騒々しさに 辟易しつつも


暖かな陽射しを ひとたび浴びれば


この心臓も 踊り出す


やめてくれ 心臓よ


お前の鼓動に耐えられるほど


この魂は 強くない


春の陽気に踊らされ


いくたび 手酷く 転んだことか


春を喜ぶ お前とて


忘れたわけではあるまいに

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