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 1- 7 おめーら、泳がねーの?

「海じゃん♪」


 オルガノ村に着くと、アリドは眼下に広がる海を一望してはしゃいだ。


「泳げないですよ」


 はしゃぐアリドを見てジムがぽつりと言う。


「ジム、あのね、みんな私の大事な友達なんだけど、そんな言い方ってある?」


 リトはついムッとして文句を言う。


「リトの友達じゃなかったら、口も聞いてないさ」


 ジムもムッとして言う。

 なんだかとても嫌な感じだ。 ジムは突然現れた4人の少年に警戒心を抱いている。

 それもかなり強い。

 どうやら最初は訳が分からなかったようだが、村に帰りながら4人を観察して、どんどん警戒していったようだった。

 腹の立つことに、弟であるガイまでが少し怯えた眼差しで4人を見ながらジムの後ろに隠れている。

 気持ちよさそー、と崖から下を覗き込むアリド達に気づかれないようにガイはリトの袖を引っ張った。


「ねーちゃん……。 あの人達、どこから出てきたんだよ? それに腕も六本あるし、金色の髪の兄ちゃんは顔に大きな傷があって片眼だし……平気なの?」

「平気なの……って、平気だよ。 失礼な事いわないの」


 リトはアリド達に聞こえないように小さな声で叱った。

 しかしガイ達の表情は晴れない。


「おーい、リトの弟とリトの幼なじみ。 おめーら、泳がねーの?」


 崖の側からアリドが大声で叫んだ。


「こんな高い崖から飛び込んで泳げる訳がないでしょう」


 ジムが呆れたように言う。


「そっか? じゃー、オレは行くな?」


 つまらなさそうにアリドは返事をすると、アリドは地面を蹴って――


「アリドォッ!?」


 リトが叫んだが遅かった。

 アリドは勢いよく跳ねると海へ向かって飛び込んだ。


「ウソ!」

「ええ?」


 ジムとガイも慌ててリトと三人で崖っぷちに行く。

 はるか下の海面で水しぶきがあがる。


「ち、ちょ、医者! いや、誰か助けを……!」


 ジムが慌てて周囲を見回す。

 ところが慌てているのはリトとジムとガイの3人だけで、他の四人は楽しそうに崖下を眺めている。


「気持ちよさそー」

「でしょ?」


 なんて話している。

 ジムはもう一度崖下をのぞく。

 ぷくぷく、っと泡が出て。

 ざばっ、と水音を立ててアリドが水面に顔を出す。


「つっめてー! けど、気持ちいいぞ? お前らも来い!」


 そう言ってアリドは手を振る。


「今日は巳白がいないから止めておくよ」


 来意が返事をする。


 ミハク。

 その言葉を聞いてリトと弓はぎくっと固まる。


「根性無しー」


 アリドの声が崖下から響いた。


「ね、ねぇ、アリドはどうやって登ってくるの?」


 リトは慌てて尋ねた。


「アリドなら岩を掴んで登ってくるさ」


 羽織が答えた。


「――岩を掴んで登ってくる……。 そ、そうだね、甘く見てたわ」


 リトが頷き――隣では。


「すっげー」


 と、弟のガイが目を丸くして感心していた。 

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