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▶︎トリップの必要性  作者: ねこの
1/3

俺の日常

「おはよー」


「おーす」


「はよー」


いつも通り友達と挨拶を交わす。


「なあ!!昨日の見たか!?3組の中島が女子と 手繋いで歩いてたの!!」


「っゲホッ!!!はぁ?何だよそれ!!彼女持ちかよ」


くだらない話を永遠と続ける。これが普通の男子高校生の日常。ここは女子禁制の男子校。まあ、もちろん男子校なので彼女はおろか、女子と接触することすら程遠い話だ。だからこそ、彼女持ちは俺らにとって重大な問題なのだ。


「…あいつ…顔はあんまりだけど、野球強いし、スポーツしてる男子はカッコよくみえるんだな…くそっ俺にもスポーツ万能な男だったら…!!」


「お前、顔はそこそこいいはずなのに言動や行動が残念だから無理だろ」


「ひどい!!!やるならおもて出ろコラ」


「ほら、そーゆーのがダメなんだよ」


「なん…だとっ!?」


「…はぁ」


ちなみに自己紹介かまだだったが、俺の名前は八賀千尋。ここ清光高校の2年生だ。黒髪の前髪がちょっっっとだけ長いのでピンで留めている。女みたいとか思ったら殴るぞ。そんでもって、俺に対して酷い態度をとっているのが佐々木桜。茶髪のいかにも今風な男子だ。この学校で1、2を争うイケメンだ…男子でも誰がカッコいいかくらい分かるから嫌だよな。自分の顔面偏差値の低さがわかるから。


「あ、ちなみに桜はこの話知ってるか?」


「…どーせ、ロクでもない話だろ」


「良いから聞けよ!!!。噂なんだけど…''神隠し''がここら辺であるらしいぞ…」


''神隠し''人が何の前触れもなく姿を消すこと。そんなことあるわけないと笑い飛ばしたかった。けど、実際に何日も姿を消した人がこの男子校にいた。


「…神隠し…か。なにが目的か分からないが俺には関係ない話しだな」


「え、ちょっそんなにアッサリした態度取られると悲しいんだけど!?もっと、こう…リアクション小さすぎんだよ!!」


「わーすごーい神隠しとか本当にあるんだーきゃーこわいー」


「くっそ棒読み」


今さらなにを考えてもキリがないと桜は自分の席に戻っていった。正論を言われ、ぐぅの声も出ない千尋はそのまま机にうつ伏せになった。


「…神隠し…あんのかな…」


こうなったら神隠しの事しか考えられなくなる。どの授業も頭に入ってこなかった。しまいには、同じクラスの奴からも心配されるほどに。桜はそんな千尋をみて、またか…そんな事を思っていた。桜と千尋は小さい頃からの付き合いで世に言う幼馴染という関係だ。桜が千尋の''自分が納得するまで考える''この行動を初めて見たのは、小学校の頃だ。いつもはおちゃらけているのに気になることがあると周りの音は全て遮断する。そんな千尋はギャップ萌えという事で女子にモテていた。…本人は知る由もないが。


「…ほんと、ギャップって恐ろしいな」


そんなことをつぶやき、何時もは一緒に帰っている2人だが今日は1人で帰る。なにを言っても聞こえないから必然的にそうなるし、めんどくさい事には関わりたくない主義だからね。


「じゃーな千尋。また明日」


挨拶をしても返事が返ってこない幼馴染を何秒か見てから桜は踵を返した。その時。


「…待てよ…俺もいっしょに帰る…!!!」


「え、あ、うん。もういいのか?」


「いや、あのさ…高2にもなって恥ずかしいけど怖いじゃん?あっ笑ってんなよ!?」


「ククっ…いや…千尋らしいなって思ってさ」


「俺らしいって何だよ!?馬鹿にすんなよ!!」


「はいはい。ほら早く、帰るよ」


「あ、待てって!!」


結局、いつも通り2人で帰ることになったのだが…


「…おい、もう少し離れて。キモいから」


「もう少しオブラートに包んで欲しかったけど今はそれどころじゃねー!!」


どんな結論に至ったのかは謎だが、悪い方向へ結論が出たらしい。正直に言ってウザい。桜は幼馴染の中じゃ無かったら蹴飛ばしてるよ、そう言って千尋を甘やかす桜も桜だ。


「分かってるって…今日だけだよ…!!」


「はいはい」


いつもこんなに静かだったらなぁ…なんて考えながら夕焼け色に染まった帰路を歩く。そこへ、2人の女子生徒と思われる子が頬を赤く染めながら2人に近づいてきた。


「あ、あのっ桜くん、良かったらこれ…読んでください!!」


可愛い女の子らしい字で桜くんへと書かれている。まあおおよそ…ラブレターだろ。さすがイケメンは違うなとか他人事のように思いながらそっと桜から離れる。桜に1人や2人本当は彼女がいていいはずなのに居ないのは何時も不思議だった。俺の世話で作る暇がなかったって言うなら距離をおいてもいいと思っている。


「あ、うん。ありがとう」


桜は笑顔で手紙を受け取る。それに対して女の子はまた頬を赤くして、待っていてくれてるもう1人の女子の元へと足早に向かった。あの2人も俺らみたいな関係なのかな…。そしたら俺も桜の恋を応援した方がいいんじゃ…またこんなくだらない事で悩む自分が嫌だった。


「んで?どーするんですかーモテモテの桜くーん?」


「…断るつもりだよ」


「なんで!?あんなに可愛い子…もったいねぇ!!試しに付き合ってみれば?」


「…中途半端な気持ちでは付き合いたくないの」


「…さすがイケメンの言うことは違う」


「意味わかんないよ」


そう言って2人で笑い合う。


「それに俺…好きな人いるし」


耳を疑った。桜に好きな人がいる…?今まで2人は色恋沙汰の話はした事がなかったが、確かにこの歳なら好きな人が居てもおかしくない。


「え…だ、誰だよ?俺の知ってる人?それとも他校の人!?」


千尋は目をキラキラ輝かせながら桜に問う。


「ゲームで知り合った子」


「…え?」


俺の幼馴染(イケメン)はリアルよりも2次元?と言っていいかわからんが…ゲームの中で好きな人が出来たらしい。


「…なぜにゲームなの!?アニメのキャラとかじゃないのか!?」


「違う違う。俺が好きになったのは女のプレイヤーの人。」


「キャラに恋したわけじゃなくて安心したけど、見た目女の子でも中身は男だったってよくあるぞ!?」


「千尋は心配しすぎだよ」


お前が危機感無さすぎだよと言いたいところだが、こんなにキラキラした顔の桜を見ていたら何も言う気になれない。千尋はため息を一つつくと幸せそうな桜の背中を叩く。


「いった」


「俺んち、着いたからまた明日な!!明日までにその緩みきった顔どーにかしろよー!」


「ほんと失礼だなー、じゃあね」


千尋と桜は家がお隣同士なのである。千尋はいつも桜が家に入ったのを見てから、自分も家に入る。


「ただいまー」


「おーかえりーチビ助ー」


「黙れババア」


「素直じゃないなー」


俺んちの家族構成は姉1人と母と父と俺の4人構成だ。姉は一応大学生だが、高校の頃、ちょっと(どころじゃない)やんちゃをしていて今はプリンヘッドになっている。見た目だけだと幼い顔つきだが、言葉を発すると残念…まさに残念美少女(?)とはこの事だと思う。


「そういえば母さんと父さん見ないけど…」


「あーまた温泉巡り行ったー」


「またかよ…」


「それよりメシー」


「ああもう!!分かったよ!!」


そう言いエプロンを着けて台所に立つ。姉はアイスをかじりながらソファで寝転がって漫画を読むの。…クズ野郎。


「ねーねーちひろんまーだー!!??」


「ちひろん言うな!!」


これが俺の日常。





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