入学
今は、2250年、ちょうど、50年前の今日、始めて「天使」と呼ばれる地球外生命体が出現した。
そして、その侵略により、当時の人口の半分が死んだ。
地球には戦闘機などがあったが、「天使」には銃弾、爆弾が一切効かず、唯一の攻撃手段は"魔力"での攻撃のみであった。
魔力は力の大小はあれど、すべての人類が持っていた。
そして、その魔力を使い、「討伐者」(サブシュゲイター)という名の組織が天使を撃退した。
そして、その一年後討伐者は、世界政府に、魔術などを教えるための魔術学校設立を立案。
その後の2015年、ついに日本にも建てられた。
そしてついに今年、この俺、一河護琉も試験に合格し、今年から、国立誠凛魔術中学校の生徒となる。
1.
今日は入学式だと言うのに、桜は散った後で、かなり殺伐とした風景である。(全然テンション上がらないじゃないか)などと思いながら、入学式の先生の話を聞いていると、先生の話が終わり、校長の話が始まろうというその時、浮遊魔法で、校長が降りてきて、多くの生徒が、感嘆の声を漏らした。
場が静かになると、校長は突然学校のことを話し始めた。
「えー、みなさん入学おめでとう。これから魔術や学校の事について説明したいと思います。
まず、学校で何をするのかですが、この学校では今もどこかで出現している「天使」を撃退するための人材を育てるため、ブレードなどの武器の使い方や魔術を教える機関です。
そして君たちは、日本の中で高い魔力を持った選ばれた人間です、それを忘れず三年間を過ごしましょう。以上です」
校長が話し終え、入学式は終了し、それぞれが分けられたクラスへぞろぞろと移動した。
チャイムがなり、若い女の担任がはいってきた。
「えー、みんな入学おめでとう。これから一年間担任になる花宮詩乃です。これから一年間よろしく」
とごくごく普通の自己紹介が終わると、
「はーーーい、では一席から順に自己紹介をしましょう。では、一席の一河くんから」
と言われた瞬間の(めんどくせぇー)という心の叫びは聞こえるわけもなく、仕方なく自己紹介を始める。
「一河護琉です。知らない人ばかりでとても緊張していますが、よろしくお願いします」
とマニュアルに載ってそうな挨拶を終え、次々に終わっていく自己紹介を聞いていると、古城優月と言う名を聞いた瞬間に、驚きで椅子から転落しそうになった。
(何故優月がこの学校に?あいつは、小さい頃の幼馴染だったが、引っ越したんじゃ……)などといろいろ考えていると、いつの間にか全員が、自己紹介を終え、チャイムが鳴っていた。
急いで優月のところに行き理由を聞いた
「なんでこの学校に?」
「やっぱり護琉だったの?久しぶりっ」
と微笑みながら、話を続けた
「何か色々あって、またここに戻ってきたの!」
その時俺は思った、(そのいろいろを聞きたいのだが)その考えを察したのか、優月は説明を始めた
「健康診断の時の魔力計測が高かったからよ!」
と普通すぎる回答が返ってきた。
そしてチャイムがなったから
「また後で」と言って席に戻った、3時間目は、魔力計測らしい。(あまり、目立ちたくないと思っていたがここでは目立ってしまいそうだ。)
先生は説明を始めた
「えーと…魔力というものはもちろんみんな知ってますね?人間の魔力の平均は53.6です。
そして、魔術学校の昨年度の学年平均は350.4です。
とりあえず一席から測っていくんで腕をまくっておいて下さーい。じゃあー河くん」
「はい」
ちっちゃい吸盤を右腕と左腕の両方に貼ると、測れる仕組みらしい。
「えーと…え?3500??」
それを聞いたクラスメイト達が一斉にこちらを向き、キョトンとした顔でこちらを見る。
(だから測りたく無いんだよーー)と心の中でつぶやきながら、先生の記入を待つが、先生が、石のように動かないのだが……、3秒後くらいに、驚いた顔で記入し、
「すごい素質ですね」
「いえいえ」
(オレの内心をわかってくれよ)と思いながら、元の場所に戻ると、予想通り、大量に質問の嵐がやってきた……そして、あっという間に休み時間も過ぎ、4限目に突入した。
四時間目は、武器の説明らしい。
少し経つと花宮先生がデカイダンボールを持ってやってきた。
そして、先生が話し始めた
「今から、武器の説明をしたいと思います。
まず、武器を起動している時は、魔力によって作られたいわゆる仮想体と呼ばれる体に換装されるので、戦闘中に攻撃を受けた場合も、本物の体にはダメージはいきません。
なので皆さんは安心して戦闘に参加してください。そして、武器の種類は、まず近接武器はロングブレード、ショートブレードがあります。ショートブレードは2つで一つの武器なので、二刀流って感じです。
そして次に射撃武器は、ショートガン、アサルトライフル、スナイパーライフルがあります。
えー…と近接武器は、刃の部分が魔力で生成されていて、射撃武器は魔力を弾として打つので、魔力の消費は射撃武器の方が多いです。
ちなみにもう知ってるとは思いますが魔力は0になっても7時間で回復します。
では、早速、自分がどの武器を使うか決めてもらいます。」
というと、目の前にズラズラと武器を並べ始めた。
いろいろと悩んだ結果、魔力が高くないと出来ないロングブレードとショートガンという2つの武器を同時に使うことにした。
そして、すべての生徒が武器を選び終わり、今日の授業4限が終了し、下校しようとすると、後ろからなんだか聞き覚えのある声が聞こえてきた。
やはり、その声の主は、小学校の時の友達、嵐山充だった。
そして、先程の優月の時と、ほぼ同じ反応をしてしまったことに気づき慌てて質問を変える。
「お前もこの学校だったんだな」
「お前と俺は繋がっているのさ!」とホモ的発言をされたが、聞かなかったことにしておこう。
すると、充が突然
「お前何組なんだ?」
「aだけどおまえは?」
「eさっ。」
小学校と変わらず、何気ない会話をしながら、家に帰った。
2
あれから、一ヶ月が過ぎ、ついに明日から全国新入生対抗チーム戦の予選が始まる。
この学校で代表を一組選ぶための試合である。
そして今、一年生徒全員が講堂に入り説明を受けているところである。
「ルールは簡単。1チーム三人でパーティを組み、トーナメントで、決められた仮想フィールドに、2チーム送られて、どちらかが、一方のチーム全員の魔力体を破壊したら勝利です。
魔術はなし。
それではみなさんの健闘を楽しみにしています。以上です。」最後のルール説明が終わると、皆一斉にチームを組み始めた。
誰にしようかとキョロキョロしていると、優月と充が猛ダッシュしてくる姿が見えたので、二人に駆け寄り、「充と優月は始めましてだろうが、このメンバーでチーム組んでもいいか?」と聞くと、同時に「勿論っ!」という威勢のいい声が響いた。
そして、偶然優月はアサルトライフル、充はロングブレードだった(なんでこんなにバランスいいんだよ!)と思いながら、チーム決定を先生に申告しに行った。
3
ついに今日、全国新入生チーム対抗戦が始まる。
そして今、優月と充とで作戦を立てていたところである「作戦としては通常なら後ろで優月が援護、満と俺が突っ込むのだが、少し違う作戦にしよう。
まず、俺が敵部隊の裏に回って銃撃で陽動。
そして、俺に向かって走ってきた時に二人が突撃からの撃破で行こう。」と、今回の作戦を説明し終えると、二人共頷き、会議は終了した。
その30分後俺達の試合が始まった。
場所は市街地a区間、陽動にはもってこいの場所だ。
始まると同時に感と予測で敵の位置を把握し、家々を突っ切りながら左回りで敵の右側に回り込み走った状態から、三発ほど打つと、予想通り、こちらの方へ向かってくる!
おれの
「作戦開始っ!」
「プランAね?」
「そうだ」
「優月は後方50メートルから射撃。充に当てるなよ」
「充は優月の狙っていない方に接近して撃破!」
「了解!!」
二人が通信をの作戦通りに二人同時に動き出す。
弾をシールドで防ぎつつ、軌道変化弾をコントロールし、一人の頭を撃ち抜いた
「ぐわーーーっ」
という叫び声とともに機能停止にさせ、敵が慌てている間に優月、充がほぼ同時に二人を撃破し、会場にwinner表示され、元いた場所に転送された。
転送された後、二人と
「イエーイ」
とハイタッチし、労をねぎらった。
そして、試合はどんどん進んでいき、ついに決勝まで進んだ。
相手は全員アサルトというこちらからするとそこまで相性の良くない相手と戦うこととなった。
相手の得意とする攻撃は、何かの遮蔽物を盾にしながら、一人ずつ一方向を見ながら戦うので、一回戦のような陽動はうまくいかないだろう。
そう思い考えついたのが、完全にカバーできてない後ろから攻める事だった。
普通の人の魔力なら到底厚い壁を壊すことはできない。(今のグレードの武器ならばだが)
しかし俺にはその壁を充分破壊できる魔力があったのだ。
なので今回の作戦は転送後に俺が後ろに回り込み貫通できるようならそのまま貫通して撃破、壁を壊すことしかできなかった場合は、壁を壊され動揺したところで二方向から一気に叩くという方法だ、
一見単純そうに見えるが、一つ間違えると勝率はかなり落ちる、諸刃のつるぎのようなものだ。
「これで行くぞ」
「リスクは高いけど、これで行くしかないね」
優月が賛成する
そして、俺達は
「頑張るぞ」
「おー!」
という掛け声の直後に転送された。
しかし、予想だにしなかったことが起きた。
なんと、そのフィールドには、壁が一個もない荒れ地だったのだ!
まさかのことに、少し慌てていると、予想通りと言わんばかりの顔でこちらへ突っ込んでくる。そして、慌てて戦闘準備が終わった頃には、充と、優月はすでにシールドを展開していた。そのシールドに守られ危機を回避した俺
「恩に切る!足削るから、最後頼む!」
すかさず反撃に出る。
まず、俺が三人の足に拘束弾を放つとリーダー以外全員に当たり、
「二人撃破たのむ」
「わかった」
有言実行でその二人を充たちが撃破する。
そして、残った一人を俺がロングの特殊攻撃パレットの流斬を「うぉぉぉぉぉ」という掛け声とともに決めると、試合は終了した。
元の場所に転送されると、絶え間ない拍手が俺達を待っていた。
結局この後表彰式やらで、帰るのはすっかり夜になっていた。
帰りは、充と優月で帰ることにし、今回の対抗戦の勝利で二人共「やったー」などと喜んでいると、悲劇はそこで起こった。
突然の天使襲来警報で、俺達の喜びは一瞬で恐怖へと変わった。
始めてみる天使に怯え、数秒動けなかった。天使は予想以上のスピードでこちらに迫ってくる。我に返った俺は、優月たちに急いで声をかける。
「二人共!武器起動!いそげ!」
「りょ、了解」
「わ、わかったわ」
武器を起動し、無線で学校に連絡する
「こちら一河隊、学校正面玄関から南西方向、距離500メートル付近で天使を視認。増援を頼みます」
「了解!しかし今すぐに駆け付けられる部隊はいません。しばらく時間を稼いでください。」
「了解!天使の交戦を開始します。」学校との通信から、チームの通信に変更する
「今、誰も駆け付けられる人がいないから暫く足止めするぞ!」
「わ、わかったやってみよう」
猛スピードで突進してくる天使をぎりぎり躱すと、その動作に習って、二人も回避。
宙にいる状態から、飛斬を放つと鈍い音をし斬撃は中でとまった、
「なんて厚い装甲だ!多分俺らの武器じゃ倒せない。
正規の兵がくるまで、なんとか持ちこたえよう、」
「持ちこたえるって言ったって……一撃がこんなに重いんじゃ…」
「攻撃自体は早くて重いが、パターンがわかれば何とかなる」とはいったものの、実際は足止めの方法すら掴んでいない。
ついに、攻撃を避けきれなくなり、あちこちにかすり始めた時に天使の行動に違和感を感じた。
前からの攻撃は全て回避してくるのに後ろからの攻撃だけ一切避けないのだ。
そこで俺は名案が思い浮かんだ。
ということは背中にくっついて攻撃していれば、当たることはないのだ。なので、三人が一斉におんなじ位置を攻撃すれば割れるのではとおもったのだ。
「二人共!今から、合図したら天使の背中にくっつけ!あいつは後ろからの攻撃に弱い!」
「了解!」
「了解」
天使が左腕を振り上げると、俺らの方に振り回してくる「今だ!はりつけっ」
うまく回避し背中に乗り、一斉に攻撃を仕掛けた。
すると少しヒビが入り、(倒せる)
と思った瞬間に予想外の出来事が起きた、突然背中から大量の腕が出てきて、捕まえられそうになった瞬間、何者かによって、俺達の捕まえられていた天使の腕が地面に落ちた
「泉谷隊現着ーー、天使を駆逐するー」