1章
目を開けると 自分の知らない世界にいた
目を開けると 自分が知りたくない世界にいた
ほんの一瞬だけでも あんな事を臨んでしまった自分に
ほんの一瞬だけでも 世界の禁忌に触れてしまった自分に
僕はどんな顔をして あの世界を歩けばいいのだろう?
僕はどんな態度で あの世界で歩かなければいけないだろう?
そんな事を考えながら、僕はただ一人この『僕が知りたくない世界』にいた。
『僕が知りたくない世界』なんて長過ぎるかな?
まあ、へったくれも何もない名前にすらなってないか。
それじゃあ、名前を付けよう
僕がここに来た、来なければならなくなった
―世界の禁忌本―
『未来予想図』
少しだけ、昔の話をしよう。
僕がこの『未来予想図』という空間、世界に来た時の話を。
20**年4月21日―
僕は、見てはいけないモノを見た、見てしまった。
決して望んでいた訳じゃない。
―偶然、いつもと違う道を通り
―偶然、その場で声を聞き
―偶然、それを見てしまった
人の死を見たのは、これが初めてだった。
木を背に座り込む一つの死体と、2人の人影。
不敵な笑みをこぼす長髪の女性と
やや困り顔をした長身の男性。
何を話してるのかまでは分からなかったが、一瞬だけこちらを見られたような気がした。
その刹那、恐怖が走った。
―殺意
背中がゾワッとして、変な汗が垂れてきた。
逃げなければいけない、逃げなければ殺される
そう思った。
震える足で、なんとか踏ん張りながら走った。
足も、手も、唇も…その時ほど、恐怖心に駆られたことはなかったと思う。
本当に必死だった。他のことなんて考えようとも思わず、思えずに。ただひたすらと、その場から離れようとしていた。
そう、していた、していたはずなんだ。
息も荒くなり、足もガクガクなのに一向に道を抜けられない。
記憶では、この道はそこまで長くない道のりだった。
恐怖で頭がおかしくなったのだろうか?
本当はその道のりほど走っていないのだろうか?




