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age21  作者: 大犬冬太
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部屋へ帰ると電気を点けたまま、彼女はもうベッドに入っていた。僕は小さな声でただいま、と呟きキッチンでコップ一杯の水を飲み、脱衣所へ行き着ていた服を全部脱ぎ、洗濯機に放り込んだ。バスルームへ入りシャワーを浴びる。自分はこんな所で何をしているのだろう、と考える。寝息を立てて眠っている彼女のことを考える。さっきまで目の前にいた小川のことを考える。今シャワーを浴びている自分について考える。空虚。目は慣れず先も足元すらも見えない。女王蟻のような怠慢さを持って、働き蟻のように取るに足らない。くだらない。現実的な話をしよう。僕は21歳の男で、ここから一年は学生でいられる。それで?それからは?

体を洗い終え、バスルームから出る。綺麗に畳まれた下着とスウェットがバスタオルをしまっている棚の上に置いてあった。今まで居た何も見えない溝の底は姿を消し、そこには脱衣所に居る僕が在った。

冷蔵庫から缶ビールを取りプルタブを開け、「起きたの?」とベッドに座りぼんやりと煙草を吸っている彼女に訊いた。

「うん。」と彼女は不思議の国から帰ってきたばかりの少女のような甘い声で言った。

僕は少し考えて、「明日、仕事は?」と彼女に訊いた。

「明日は休みだよ。」

「今から散歩に行かない?」。

「いいね。」と彼女はにっこり笑ってそう言い、テーブルの上へ手を伸ばし灰皿に煙草の火をもみ消した。





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