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真実

真実が明らかに

 軽くシーチキンおにぎりを平らげた花子は、満足げな表情を見せた。

 今こそ言うチャンスだ。

「花子」

「何?」

「あのさ」

 言え。

「あの…」

 言え、俺。

「実はさ…」

「海水浴行こーぜぇ」

 はっ?

 俺が声がした方を見ると、パピヨンみたいな顔で、ドラえもんの様な体型、それで海水パンツを履いた少年が窓際に腰をかけている。なんだよ、こいつ。

「海水浴行こーぜぇ」

 こいつがまた言った。

「ボレンノじゃん」

 ボレンノってこいつかよー。

「会いたかったよ。ボレンノ」

「海水浴行こーぜぇ」

 それ以外の言葉を言えないのか。ボレンノは。

「これあげる」

 ボレンノに鮭おにぎりを渡す花子…って俺の鮭おにぎりあげるなぁ。

「海水浴行こーぜぇ」

 ボレンノはそう言い残して消えた。



 なんだあれ?


「ボレンノ。私の友達」

「ああ、そぅなん」

 こいつもヘヴンの住人なのか。パピヨンみたいな顔になりたかったのか。

「じゃねーよ。花子」

「何なの?」

「実は謝んなきゃいけない事があって…」

「なに?」

 俺が言おうとした時、色んな事を思い出した。シーチキンおにぎり買ったり、トイレに閉じ込めたり、なんか知らんけど24時間耐久鬼ごっこもやった。

 俺が生きていく中で有り得ない日常を、こいつは味合わせてくれた。こいつは俺の中で、最高で最強の彼女だ。

「お前の全てを俺は知ってるんだ」

「…」

 花子は何も言わない。

「お前はヘヴンの住人で、生きている時は、俺の彼女になりたかった。そんな時、君は無残な死に方をし、ヘヴンに着いた。その時になりたかったのは、俺のタイプの女子高生だ。俺の部屋を知っていて、俺がタイプを知っているのは、猫のマリン。お前はマリンなんだよな」

「なんで…知ってるの?」

「俺はマリンにいつもこんな彼女できねえかなって愚痴をこぼしてた。あとは、俺の部屋に連れてった後、俺はお前にシーチキンをあげていたんだよ」

「…」

 すると、花子は、俺を抱き締めた。

「…これ、やりたかったんだ」

「…」

 俺は何も言わず、抱き返した。

「好きだった。付き合いたかった。でも猫は猫、人は人なんだよね」

「うん…」

「この時間にバレてよかった。私、そろそろヘヴンに帰んなきゃ」

 見ると、実体化していた花子はだんだん透けていってる。

「また、人間界に来て、剛見つけたらギュってしてい?」

「うん、でももし引っ越したら」

「すぐ見つけるよ。だって、剛の事が好きだから」

「見つかんなかったら」

「私にチュウしていいよ」

「なんだそれ。後、最後に聞きたいんだけど…」

「えっ…何?」

 そう言い終わって、花子は消えた。

 なんで、なんで花子なんだよ。


次回終章

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