1話 ヘルツの目覚め
目が回る 。否 、目は閉じているはずなのに
脳を直接揺さぶられるような震動を感じる 。
遊園地のコーヒーカップ .... 乗ったこともないのに
頭の中にはあのカラフルなカップがポンと思い浮かんだ 。
吐き気がせり上がる 。
大丈夫 、寝ていれば治る 。
このくらい 、我慢していれば _____
___________ ***
「 ゼクス!!起きて!! 」
衝撃 。胃袋に直接響く重みに私は跳ね起きた 。
いつものことなはずなのに命の危機を感じた 。
喉がひりつく 、息ができない 。
大丈夫大丈夫 、私は頭の中で静かにそう唱えた 。
「 やーっと起きたわね!今日は掃除の日なのよ! 」
「 ... は ....? 」
目の前には煤で汚れた小さな子供 、
私の腹に馬乗りになり勝ち誇ったように笑っている 。
少女の服は泥や埃で汚れていて 、
そこら中がつぎはぎだらけだった 。
ただ胸元に青く刺繍された文字だけが
妙に主張されている 。
" Sphere - 20 "。
まるで何処かの研究対象のような服だ 。
誰だ 。ここはどこだ 。思考が追いつかない 。
それなのに裏切り者の唇は勝手に形を作った
「 …… おはよう 、ツヴィン? 」
「 んふ 、おはようゼクス 」
彼女の 、飴玉のような緑の瞳が細められる 。
それにつられるように反射的に私も微笑む 。
きっと私 、今とっても優雅な顔してる 。
私こんなに顔を作るの上手だったっけ 。
混乱しているせいで変なところに意識が飛ぶ 。
脳内はとんでもないスピードで
回転をし続けているというのに 。
ツヴィン?ゼクス ?なんだその音は 。
私の ... 名前?違う 。私は 、私はもっと 、
「違う何か」だったはずだ ______ 。
.... 記憶を必死に辿って辿って 、
気持ちの悪いおっさんに押し倒される描写が
鮮明にフラッシュバックした 。
掴まれた手首 。
生ぬるい吐息が太腿にかかる 。
「 ぉゔぇっ 」
「 ゼクス!?!? 」
口から吐瀉物が飛び出す 。
処理落ち ... というやつだろうか 。
視界が暗転する直前 、私は理解した 。
気持ちの悪さの正体 。鳴り止まない頭痛 。
脳が情報の濁流に耐えきれず 、
OSが書き換えられていくような熱い痛みが走る 。
これは「私」という器が 、この世界の理を拒絶し 、
作り替えようとしている軋みだ 。
だって 、私はこの世界の人間じゃない 。
あぁ 、もし私がまたこの世界で目を覚ましたら
これが夢なんかではないのなら
今度こそ我が道を制して見せよう 。
なろう初心者
お試し投稿失礼します




