第45話 必死の言い訳
「えっ?」
「いや、だからと言ってホント何もないよ!?
あんなSNSも上がってるけど、誓って梓とは何もない!
俺見ててわかんない??信じられるよな?!」
「……うん…」
「俺、あの日あいつに飲もうって言われて、一杯だけワイン飲んだんだ。
そしたら、部屋にスマホ忘れてきちゃって…」
「え?」
「マジで一杯だけ。嘘じゃないって!!」
「誰も、嘘だなんて言ってないよぉ…」
「俺その後すぐに寝たから、スマホないの気づいたの朝なんだ…」
「……」
「それに花凛の通話記録消されてたから、言われるまで気づかなかった…」
「……それってIDとかは?」
「それが不思議なんだよ…俺のID絶対わかんないはずなのに、なんであいつわかったのかな…?」
「……」
「あのゴールデンゲートブリッジの写真は、載ってたことも知らなかった。
咄嗟にあいつに抱きつかれて、その瞬間に運転手が撮ってたみたいで…」
「……」
「いや、そんな顔してるけどホントだから!あいつ広報だから勝手に載せたんだよ!」
「そんな顔って……」
「俺は、お前のインスタなら載せられても全然、構わないんだけどな」
「……私、そんなやってないもんSNS…」
「でもまぁ…なんかそのおかげで、花凛、怒り爆発してくれたから良かったけどさ…」
「別に爆発なんてしてない!」
「してただろ?!認めろよ~♡お前俺の事、大好きなんだろ?!」
「……」
「はぁ、ホントに…良かった…」
俺は咄嗟に、もう一度目の前にいる花凛を両腕で強く抱きしめた。
さっき別れるなんて言われて、頭の中真っ白になってどうしようかと思ったし!!
そこまで腹くくられて…危ないところだった…
…梓のやつ……今度なんか言ってきたら倍にして返してやる…
でもまぁ、あいつがが余計な事してくれたおかげで、花凛が本音をぶちまけたんだもんな…
でも…
「なぁ…」
「えっ?」
「お前そんなに嫌なら、もう少し俺に思った事言えよ…
あんなおっさんのメッセージ鵜呑みにして、俺無視するくらいなら先に聞けば良くない?
…それにもうちょっと、信じてくれてると思ってたんだけど!!」
「ごめん…」
「今度からは、なんでも全部話せよ?遠慮するな」
「私…あんまりそう言うの得意じゃないんだ…ごめんね…」
「花凛…」
「だから…別れるつもりなかったら、凱斗に聞けなかった…」
「えっ…」
って言うか…
俺…今回本気でやばかったんだなコレ…
「それにいろんなこと重なっちゃって…」
「……」
「時間もないし、余裕もないし…心の余裕もないのかも…」
「花凛さ…」
「ん?」
「先週言おうと思ったんだけど…」
「うん…」
「お前…仕事変えたら?」
「え?」
「入社して三年目だよな?戦コン三年目ってさ…結構俺の先輩も転職してるってちらほら話聞くんだ」
「あぁ…」
「ここまで頑張って来たのもわかるし、それがキャリアにも繋げられるんじゃないの?」
「どうかな…あんまり今自信ない」
「すこし本気で考えてみても、いいかもな…」
「うん…」
「何なら胡蝶花凛になって俺に就職…って言う手もあるけど」
「……」
「何で黙るわけ?」
「ちょっと真剣に考えてみようかな…転職と留学」
「いや、留学いらないし!!」
「え?」
「転職ならうちの秘書やれよ。あいつはもうクビだ。チッ」
「でも、すっごく優秀でしょ星野さん…あんな人そうそういなくない?」
「まぁな…」
はぁ…そうなんだよ…
今回あんなことになったけど、仕事はかなりできる優秀なやつだ。
辞められたら結構痛手だし…
さっきは冗談であぁ言ったけど、花凛なんてそばに居たら、俺仕事になんかならないしな。
週明け佐田に、相談しよう…
「そう言えば…俺の事より、お前相楽に断ったんだろうな!?」
「え?相楽君?」
「あいつは絶対にダメだからな!!神崎からあいつが告ったって聞いたぞ!」
「あぁ…あれ…多分…璃子の嘘かな…」
「嘘?!」
「なんか…凱斗をからかうって言うか…懲らしめるとかなんとか…」
「…あいつ…」
「相楽君に告白なんて、されてないよ」
花凛はそう言って笑った。
だからその笑顔に、俺たちは誰が割り込んできても大丈夫だって…。
この時は、そう思っていた。
「なんか俺、安心したらお腹すいてきた…」
「あ…パスタ作るね…」
「俺今日、ここ泊まりたいな……」
「明日月曜で仕事だから、ダメだよ…それにスーツケースの荷物片づけないとね…」
「せっかく仲直りしたのに…」
「何か言った??」
キッチンから花凛に聞き返されて、俺は小さく首を横に振った。
こうして俺は、無事に花凛と仲直りする。
一緒にパスタを食べて
何気ない時間を一緒に過ごし、自分の家に戻った。
今思えば長い長い一週間だった…
いや…長い長すぎる三週間だった。
だけど…
本当の戦いはこれからだった。




