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転生したらトカゲだった~進化を重ねて最強のドラゴンになれ~  作者: ギッシー
第2章 北の山脈編

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61.ソーマの目的

 確か縁覚えんがく界って修羅界と同じ仏教の十界論の一つだったはず。どんな能力の称号スキルなんだ? 詳しく〖鑑定〗してみよう。


【〖縁覚えんがく界〗とは十界称号スキルの一つ。独力で仏法の部分的な覚りを得た境涯です。ですが、それはあくまでも独力によるもの。わかった気になっているだけで、仏の覚りから見れば部分的なものであり、完全なものではありません。非常に稀ではあるが取得する事ができるレア称号スキルです。LVアップ時に魔力の上昇値大アップ、魔法系のスキルLVや取得が大幅にしやすくなり、進化先にも影響が出ます】


 へー、私の〖修羅界〗が全体的なパワーアップなら〖縁覚えんがく界〗は魔法特化のパワーアップだな。ソーマのやたらと高い魔力は〖縁覚えんがく界〗の影響だったのね。じゃあ〖探究者〗ってのは?


【〖探究者〗とは、特定の分野に対して物事の本質を知り、未知を解明し、より深い知識を求める心を持つ者が取得できる称号スキルです。自分の求めるステータスアップやスキルを取得しやすくなります】


 なるほど、ソーマにとってはそれが魔力の高さやLVMAXまで鍛えた〖死霊魔法〗って事か、〖縁覚えんがく界〗と〖探究者〗のダブルパンチであのステータスが生まれたわけだ。


「クッ、〖鑑定〗を通されただと……スキルLVを上げてきたか……ッ!」

『魔物の成長速度は早いのよ。以前と同じと思わない事ね。せっかく見つけた居心地のいい土地。そして何より、私の可愛い弟子に手を出した事を後悔させてあげるわ』


 私はソーマと一定の距離を保ち向かい合う。セリフとは裏腹に警戒を強めていた。

 〖鑑定妨害〗を返され、片腕まで切り落とされたってのにこの余裕はなんだ? さっきの攻撃でHPもかなり減ってるし、倒そうと思えば簡単に勝てそうな気はするんだが、どうにも不気味だ……。


「おっと、まずは君に切り落とされた腕を治さなくてはな。こいアンデッドよ!」


 ソーマの声掛けに答え、近くにいるゾンビが寄ってくる。

 あれは元冒険者のゾンビか? いったい何をするつもりだ? 〖肉体再生〗もない人間の腕がくっつくわけないだろ。


「フッフッフッ、私の研究成果の一端を見せてあげましょう。〖高速オペ〗!」


 ソーマは元冒険者ゾンビの腕を切り落として自分の腕の傷にピタリとくっつけ、いつの間にか手にしていた針糸を使い高速で縫い合わせた。ソーマは新しくつけた腕を振り動きを確かめている。ものの数秒で腕の移植手術が完了してしまった。

 はぁあああッ! そんなのありか! 〖高速オペ〗ってそのまんま高速で手術する事だったのかよ!


「ハッハッハッ、片腕の間に攻撃されていたら危なかったですよ。様子見は〖鑑定〗持ちの悪い癖ですね」


 くそっ、判断を誤ったか! いや、誘っているだけの可能性もある。敵の言う事を真に受けたらダメだ。あの不気味な余裕は絶対に何か隠し玉を持っているはず。会話で探りを入れてみるか。


『ソーマ、あんたは数年に渡ってこの町の薬師として信頼を得ていた。なぜこんな事をしたの? どうやって町民をアンデッドに変えたの?』

「もしかして私に探りを入れていますか? フフフッ、乗ってあげましょう」


 ソーマはニヤリと嗤い誘いに乗ってきた。

 やったね、思った通りだ。こういう輩は自分の知識を誰かに話したくてしょうがないって人種だ。誘導すれば乗ってくると思ったよ。さあ、あんたが何をしたのか話してもらおうじゃないの。


「では聞いてもらいましょうか、数年の時をかけて成し遂げた成果を。まず、私がこの医者も薬師もいない田舎町にやってきたのは、手っ取り早く町の中心人物になるためです。そうすれば町の運営にも口を出せますからね。お人好しな町長の信頼を得るのは実に簡単なミッションでしたよ」


 楽しそうにペラペラ喋りやがって、こいつさては自慢話好きだな。もっと情報を引き出してやろう。


『それで、町の運営がアンデッドとどう繋がるのよ?』

「ここまで話してわかりませんか? 案外頭が悪いのですね?」


 はぁあああッ! ふっざけんな! そんだけでわかるかってーの!


「頭の悪いアテナさんのために説明してあげましょう。信頼を得ていれば町のどこにでも入り込めます。生物をアンデッドに変える秘薬を町の食料に混ぜていたのですよ。長い年月をかけて少量ずつね。体に沁み込んだ秘薬は私の魔法を合図に一斉に発動し、アンデッドに変化するのです。最近貴方目当てでやってきた冒険者には治療時に薬物を飲ませました。実験体になってくれた皆さんのおかげで私の研究も非常に進みました。一度アンデッドなれば私にも戻せませんから、お礼ができないのが残念です」


 はぁあああッ! 毒物混入かよ! つまりこの町全体が実験場だったって事か? こいつ、とんでもない事やってやがった! 〖縁覚えんがく界〗ってのは知識を求める研究者気質なのか? 〖探究者LV――〗なんて称号スキルを取得するわけだわ。


「そんな物のためにユナの大切な町とお爺ちゃんに酷い事するなんて……許せない……ッ!」

『ユナ、みんなの仇は私が討つわ。それで少しでも留飲を下げてちょうだい』

「わかった……ありがとうアテナ師匠」


 自分勝手なソーマの計画に被害者であるユナが怒りを爆発させる。

 私にはアンデッドを元に戻すなんて芸当はできない。ソーマを倒す事で少しでも気を晴らしてほしい。


『町の事情はわかったわ。後もう一つ聞きたい事がある。ツララに呪いをかけたのもあんたなんじゃない?』

「ほう、あながちバカでもないようですね。その通り、町では山の神に定期的に捧げ物をしています。その食べ物の中により強力な毒物を混ぜました。味に変化がないように工夫した物をね。しかし、本命の山の神に効果はなく残念でしたよ」


 やっぱりツララの呪いもこいつの仕業だったか。でも、狙いはコノハナサクヤヒメだった? 一体何をしようとしていたんだ?


「主さんがあちきに呪いを? そのせいで姫様に大迷惑が……許せねえでありんす……〖アイスニードル〗ッ!」

「私を守れアンデッドよ!」


 事の真相に激怒したツララが先制の〖アイスニードル〗を放つ。だが、ソーマは操っているアンデッドを前に出し、肉盾として利用し防御した。

 くそっ! やっぱりアンデッドを自由に操れるのか、町民に冒険者全部となると相当な数だぞ……!


「ちっ、邪魔なアンデッドでありんす。全部凍らせてやりんす!」

「待って! あれはみんな町の人たちなんだよ!」

「えっ、今はアンデッドでありんすよ? 戻せる見込みがない以上殺すしかありんせん」


 アンデッドを蹴散らそうと大技の手印を結ぶツララをユナが止めた。

 ユナの気持ちはわかる。けど、正直私もツララに賛成だな。コノハナサクヤヒメならワンチャン治せたかもだけど、今は力を失ってるからね。

 もちろん私だってソーマのした事には怒ってるし許せない。でも、どうにもできないなら倒すしかないじゃんね。さて、どうしたもんか……。

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