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転生したらトカゲだった~進化を重ねて最強のドラゴンになれ~  作者: ギッシー
第2章 北の山脈編

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58.ツララ②

 いつも通りに倒せない獲物を相手にしたツララがとっておきの魔法、氷魔法の最上位〖ダイヤモンドダスト〗を放ってきた。

 こいつはヤバいぞ。この足じゃ急には〖飛行〗はできないから躱せないし、防御しようにもツララの魔力から放たれる最上位魔法なんて受け止められない。考えろ、思考を止めたら終わるぞ……ッ!

 私は〖思考加速〗を全開発動して脳をフル回転させる。


『私から降りてギン爺! そんですぐに〖金剛〗を発動して!』

『緊急事態ですな主様! 了解しましたぞ!』


 私から飛び降りながら空中で〖金剛〗を発動するギン爺を両手でキャッチし、ハンマー投げの要領で遠心力を加える。そのままツララ目掛けてぶん投げると同時に〖ファイアブレス〗を放つ。すると、〖ファイアブレス〗の炎がギン爺を包み込み、炎を纏い回転しながら飛ぶ大亀が誕生した。


『あっちゅい! あっちゅいですぞ主様ぁあああッ!』

『我慢してギン爺! 今の貴方は炎の弾丸! 体当たりでツララを倒すのよ!』

『ワ、ワシがツララ殿を? 了解しましたぞ主様! 炎の弾丸……ワシと主様の協力技。〖ファイアバレット〗とでも名付けますかな!』


 〖ファイアバレット〗か、いいセンスしてるじゃないの。いっけーギン爺!!

 やる気を漲らせるギン爺と〖ダイヤモンドダスト〗が空中でぶつかり、激しく火花を散らしてせめぎ合う。


「あちきの〖ダイヤモンドダスト〗は全てを凍らせ破壊しんす。いまさら何をしようが無駄でありんす!」

『なんのこれしき……ワシと主様の協力技は、そんな操られた状態の魔法に負けはせぬ! ウォオオオ〖ファイアバレット〗!!』

「そんな……あちきの〖ダイヤモンドダスト〗が、押し返される……ッ!」


 初めは拮抗していた〖ダイヤモンドダスト〗と〖ファイアバレット〗だったが、徐々にギン爺が勢いを増し、押し返していく。

 おおおっ! ギン爺の防御力と〖金剛〗なら互角以上に持ち込めると思ったけど予想以上の威力だわ。


『おりゃあああフルパワーですじゃあああッ!』

「クッ……これ以上は〖ダイヤモンドダスト〗を……維持できねえでありんす……くぅん!」


 私とギン爺の協力技に〖ダイヤモンドダスト〗を破られたツララは、衝撃で後方に吹き飛ばされる。だが、押し勝ったギン爺も方向を逸らされ〖ファイアバレット〗を命中させる事はできなかった。


『申し訳ございません主様、外してしまいました』

『よくやってくれたわギン爺! 後は私に任せて!』


 私は吹き飛ばされた衝撃と必殺技を破られた精神的ダメージで身動きが取れないツララに向かい、全速の〖飛行〗で接近し〖爪撃〗を叩き込む。爪はツララの腹に深々と突き刺さった。


「ぐぅ……まだでありんす。まだ終わりんせん!」


 つ……爪が抜けない、腹筋を固めて動けなくしたのか!

 ツララは私の動きを封じ、〖アイス〗の魔法でナイフを作り出し、私の首筋目掛けて振り下ろしてくる。私はそれを残った手で受け止めた。

 これじゃあお互い身動きが取れない……だったら刺さった手から魔法で攻撃してやる! ツララは魔力のステータスが高いから〖ダークショット〗一発じゃ倒しきれない。連発でいくぞ!


『ごめんツララ。貴方に恨みはないし、呪われてまで使命を全うしようとする崇高な精神は尊敬に値するくらいだわ。コノハナサクヤヒメに復活させてもらったら友達になりましょう……〖ダークショット〗〖ダークショット〗〖ダークショット〗ォオオオッ!!』

「あちきが……あちきがこんなところでぇえええッ!」


 私の連発〖ダークショット〗が大爆発を起こし、ツララの体を二つに分かった。

 やったよコノハナサクヤヒメ、約束通りツララを倒したわ。復活は頼んだわよ。


【経験値を6537取得しました】

宵闇よいやみ幼竜はLV34からLV42に上がりました】

【通常スキル〖飛行LV6〗が〖飛行LV7〗に上がりました】

【通常スキル〖爪撃LV7〗が〖爪撃LV8〗に上がりました】

【通常スキル〖真空斬LV5〗が〖真空斬LV6〗に上がりました】

【魔法スキル〖闇魔法LV8〗が〖闇魔法LV9〗に上がりました】

【耐性スキル〖魔法耐性LV4〗が〖魔法耐性LV5〗に上がりました】

【スキルポイントを取得しました】


 久々の大量LVアップきたー! やっぱり格上相手は取得経験値が多いわね。でも、ツララは今まで見た最高ランクのBランクなんだから、正直もっと経験値が入ってもおかしくないと思っていたわ。そう思っちゃうのはさすがに強欲すぎか?


『やりましたな主様、ワシにも大量の経験値入ってLVアップしましたぞ。久方ぶりに新スキルまで取得しましたですじゃ。もうLVが上がる事などないと思っておりましたが、主様と行動を共にするようなって、ワシもさらに強くなれそうですじゃ』

『それは良かったわ。後で新スキルを教えてね』

『はいですじゃ主様』


 ギン爺は皴のある顔をさらに皺くちゃにして喜んでいる。

 なるほど謎が解けたわ。ギン爺に経験値を吸われてたみたい。直接倒したのは私だけど、ギン爺大活躍だったもんね。経験値の分配も納得だわ。

 ツララは本当に強かった。でも、強すぎて手加減できなかったから、やりすぎて体が真っ二つになっちゃったわ。これでも復活できるのかしら? ま、神様が言うんだからできるんだろう。ここはコノハナサクヤヒメを信じて任せてみようか。

 ツララを倒した私はその死体を回収し、コノハナサクヤヒメの所まで持って行った。


「ツララを止めてくれて本当にありがとうござりんすアテナさん」

『ごめんコノハナサクヤヒメ。約束通りツララを倒したけど、体が真っ二つに切断されちゃったわ。この状態でも復活できる?』

「はい、これくらいならすぐに元通り復活できんす。ツララをそこに寝かせておくんなんし」


 言われた通り足元に寝かせると、コノハナサクヤヒメはツララを中心に雪面に魔法陣を描き始めた。

 おお、複雑な幾何学模様の魔法陣だ! ちょっとおバカっぽいと思ってたけど、さすがは神様ってところかしら。凄いじゃないコノハナサクヤヒメ。


「ふぅ、完成しんした。それじゃあいきんすえ」


 コノハナサクヤヒメが魔法陣に手を触れ魔力を流し込む。すると、幾何学模様の魔法陣が光り輝き、急速にツララの体が再生を始めた。


「う、うぅぅん、えっ姫様? あちきはいったい……」

「気にしなくてもようござりんす。もうわちきの元を離れねえでおくんなんし……」

「ようわかりんせんが、あちきが姫様の元を離れるわけありんせん。ずっと一緒でありんすよ」


 コノハナサクヤヒメが蘇ったツララを強く抱きしめる。ツララは抱き締め返す事でそれに応えていた。

 凄い……本当に死んだ魔物が生き返った……神の力って凄いのね。少しイチャつきすぎな気もするけど、私は感動の再会に水を差すほど野暮じゃないから止めない。暫くはそっとしておいてやろう。


 そう思ってた時期が私にもありました。二人が抱き合ったままいつまで待っても離れないんですけど。

 主に再会が嬉しくて泣き続けるコノハナサクヤヒメの頭をツララが撫でてあやし続けていた。

 こりゃあ終わりそうにない。気が引けるけど声かけるかぁ……。


『あの~コノハナサクヤヒメさんにツララさん、そろそろいいかしら?』

「ああ、ごめんなんしアテナさん。再会が嬉しゅうてつい……」

「姫様、誰でありんすかそのドラゴンは? どこかで見た事があるような……」


 ああそうか、ツララは呪われてたから、その時の記憶がないんだな。


「そんな事になっていたなんて……。大変お世話になりんした。ありがとうござりんす」


 今までの経緯を聞いたツララは私に深々と頭を下げて感謝を示した。


『私にも目的があっての手伝いだから気にしないで。それはそうと、コノハナサクヤヒメから感じる神聖な力が大分減った気がするわ。ツララの復活でかなり力を使ったんじゃないの?』

「そうでありんす。復活は消耗が激しいので、数年は神の力を殆ど使えなくなりんす。つまり、今のわちきは普通の人間と大差ありんせん」


 コノハナサクヤヒメは何でもない事のように、ツララを助けるのに体を張るのは当然じゃないですか? みたいにサラッと述べた。


 「さっきまでツララを傷付けるなんてできんせ~ん」って泣きべそかいてたのに、調子を取り戻したみたい。でも、簡単に言うけどそれって大変な事だよ。この力が全てを支配する世紀末みたいな世界で力を失うんだもの、それだけツララが大切な存在だったんだろう。

 愛し合う二人は常に一緒。そんな言葉が似合う二人の手助けができて、私も満足だよ。

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