47.ユナのレベリング②
初めての戦闘で苦戦するユナだったが、転んだ事が切っ掛けになり、スノーラビットを倒してしまった。
運が良かったと言えばそれまでだけど、結果的には転んだ勢いを利用して勝利を掴んだんだ。これは偶然なのかラッキーガールなのか?
取りあえず、スノーラビットを倒してユナのLVが上がったようだし確認してみよう。〖鑑定〗!
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〖ユナ〗
種族:人間
LV :2/70
HP :10/17
MP :9/9
攻撃力:13+5
防御力:7+2
魔力 :9
素早さ:10
装備
〖果物ナイフ:Eランク:攻撃力+5〗
〖布の服:Fランク:防御力+2〗
通常スキル
〖人間言語LV4〗
耐性スキル
なし
称号スキル
〖幸運LV――〗
スキルポイント:20
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残念、LVアップは1だけだ。ステータスもあんまり上がってない。もうちょっと上がると思ったんだけどなぁ。
私の場合は〖修羅界〗の効果で取得経験値とステータスの上がりが強化されてるから、あんまり参考にならないかもしれない。でも、まだ始めたばかりだ。この調子でレベリングしていこう。
そう思いステータス画面を閉じようとした瞬間、称号スキルが増えているのに気が付いた。
〖幸運LV――〗! 私も初めて見る称号スキルだ! 戦闘前に〖鑑定〗した時にはなかったよな、さっきのLVアップで取得したって事か? 〖鑑定〗してみよう。
【称号スキル〖幸運LV――〗とは、普通よりほんのわずかに運が良くなります。目に見えるほどではないので、あまり期待しない方がいいでしょう】
なるほど、そのまんまの称号スキルだな。効果は〖転生者〗の劣化版ってところか? 常時発動のパッシブスキルだし、かなり有用そうだね。どうやらユナは正真正銘のラッキーガールになったようだ。
「ううぅ……また悪寒がするよぉ、〖鑑定〗したのアテナ師匠? ユナLVアップして強くなってる?」
『ええ、ちょっとステータスが上がってるわ。頑張ったわねユナ、少し強くなってるわよ』
「ほんとー! やったー! この調子でどんどんいこー!」
LVアップでテンションの上がったユナが次の獲物をよこせと急かしてくる。
まったく、血の気の多い弟子を持つと師匠は大変だよ。まぁ、可愛い弟子のためだ、探してあげるんだけどね……おっ、近くに小さい反応あり! いってみるか!
〖癒しの水〗でユナを回復させてから〖気配探知〗の反応があった場所へ移動すると、今度は二匹のスノーラビットを発見した。
よし、向こうはまだ気付いてないぞ。
「あれが次の相手? さっきの一匹でもやっとだったのに二匹もいるよ」
『あら怖気づいた? 敵は強くなるまで待ってはくれないのよ』
「怖くなんてないもん! いっくぞーッ!」
二体のスノーラビットに少し怖気る様子のユナだったが、私の言葉に奮起したのか、果敢に向かっていった。
幸い初戦よりLVの低いスノーラビットが相手だ。これも〖幸運〗の効果かもしれない。これなら二匹相手でも戦えるはずだ。ユナ、貴方の力を見せてちょうだい!
「やったるぞぉおおおっ!」
勢いよく飛び出したユナが二匹のスノーラビットに襲いかかり、先制攻撃を当てる事に成功した。
「ププーッ!!」
攻撃を受けたスノーラビットが反撃に転じるが、初陣とは違いユナも負けていない。LVアップで上がったステータスと経験で、二匹相手に互角に戦っている。
おおっ、やるじゃないユナ! ちゃんと相手の動きを見て対応してるし、二戦目なのに見事な成長だわ。
「ププッ!」
「いたーッ!」
奮闘を続けるユナだったが、数の暴力に押され、徐々にダメージを受ける場面が増えていく。
やべっ! HPが10を切った! 急いで回復だ! 〖癒しの水〗!
私はユナのHPが減るたびに回復魔法で支援を入れる。そして、
「とりゃあああッ!」
「プピーッ!」
ユナが止めの一撃を決め、スノーラビット二匹を見事倒して見せた。
「やったよアテナ師匠! またLVが上がったよー!」
私に向かって勝利のVサインを決めるユナがLVアップを報告してくれた。
『おめでとうユナ。それじゃあ、今日の仕上げに入るわよ』
「今日の仕上げ? 何するの?」
『LVアップのお祝いに、私がご飯を作ってあげるわ』
「やったー! アテナ師匠のご飯楽しみー!」
喜んでるユナには悪いんだけど、多分大変だと思うよ。何しろ初日の仕上げとは、LVアップしてHPが増えたところで〖悪食LV――〗を取得させるために毒のある魔物を食べさせる事だからだ。
LVアップ時のステータス上昇値が上がる称号スキルは早めに取得したいところだけど、HPが低いと毒が入って死んじゃうかもしれないからね。上がるまで待ったのだ。
私はその辺で捕まえた毒持ちの魔物を捏ねて毒だんごを作り、ユナに手渡した。
「くっさー! アテナ師匠何これ? 泥だんご?」
『違うよ。これは貴方が食べるご飯よ』
「えええええええッ! こんなくっさいの毒があるよ! 絶対食べない! 嫌だ嫌だ嫌だぁあああッ!!」
『こら! おとなしくしなさいユナ! これは貴方のためなの! 強くなりたきゃ食べなさい!』
私は全力で嫌がるユナを抑え込み、無理やり口をこじ開けて毒だんごをねじ込んだ。
「おえぇぇ、ゲロマズだよぉ……」
『戻したらダメよユナ! 飲み込むのよ!』
ユナは時にゲボを吐き、苦しみながらも平らげ、見事称号スキル〖悪食LV――〗を取得した。
これで今後はLVアップ時のHP上昇値がアップできるぞ。
その後、今日仕留めたスノーラビットを美味しく料理してユナに振る舞ってあげた。ユナも「うめー! うめー!」って大喜びだったわ。これで私がメシマズじゃない事も証明できたと思う。
ユナもLV3まで上がったし〖悪食LV――〗も取得できた。初日としては上々の成果だね。




