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転生したらトカゲだった~進化を重ねて最強のドラゴンになれ~  作者: ギッシー
第1章 トカゲから始まる異世界転生
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12.アテナとフェリシアの約束

 名無しだった私に名前ができた。

 その名はアテナ。地球では戦の神であり三大処女神の一柱だ。

 怖い神だとも言われているけどね。

 神話の神々なんて大体そうだし、あんまり気にする必要もない。

 それよりフィーリングが大事だ。とっても気に入ったよ。


『いい名前をありがとうフェリシア』

「いえいえ、私も楽しませていただきました」


 フェリシアは喜ぶ私を見て、腕を組み満足そうに頷いて答えた。

 うんうん、そんなに喜んでもらえて私も嬉しいよ。

 それはそうと、フェリシアはこんな危険な森に一人で何をしにきたんだろう?


『フェリシアは見たところシスターみたいだけど、ここで何をしていたの?』

「はい、私はこの近くの町に住むシスターなのですが、教会では信心を広めるだけでなく、人々の病気や怪我を癒す活動もおこなっています。この森に自生する薬草や花は良い薬になりますので、こうして時々摘みにくるのですよ」


 なるほど、薬師も兼ねてるって事か、この世界の宗教家は多才だねえ。


「アテナはこの森に住んでいるのですか?」

『そうだよ。私は最近生まれたばかりなんだけど、この森産まれこの森育ちさ。少し先にある湖の近くの洞窟に住んでるよ』


 私の返答を聞いたフェリシアが暗い表情になる。

 どうしたんだろ? 落ちがなくてつまんなかったか?


「あの湖は凶悪な大蛇が根城にしている危険な場所なんです。できれば引っ越した方がいいと思いますよ……」


 凶悪な大蛇? それって、カエルとの死闘の後見たあの大蛇の事か……!

 そうか、あの湖はあいつの住処だったのか、確かにあれは化け物級のとんでもない魔物だったな……!


『うん、私もその大蛇を見た事がある。あんな化け物の住処に近いのは怖いね……。せっかく手に入れた拠点だけど、引っ越しを考えてみるよ……』

「アテナも大蛇を見た事があるのですね。それがいいと思います……。あの大蛇も昔は町を救ってくれた事もあり、私の住む町では蛇神様として祀られていたのですが、今では生贄を要求したりと災厄をもたらす存在になってしまいましたから……」


 昔は町を救った事もある……か、お供え物とかされて調子に乗っちゃったのかな?

 でも生贄はヤバいでしょ。要求がエスカレートしていくなんて、人も魔物も大差ないわねぇ。


『そんな危険な魔物がいたら国が黙っていないでしょ? 討伐対象になったりはしなかったの?』

「町の代表を務めている父が冒険者ギルドに申請は出しているのですが、今だ受理されていません。悔しいですが、ここは都会から離れた田舎町です。後回しにされているのかもしれませんね。ですが、偶然町を訪れた冒険者パーティーが引き受けてくれたのです」


 ん? 冒険者パーティー?

 なーんか嫌な予感がしてきたぞ。


『ねえフェリシア。その冒険者って男が二人、女が一人の三人パーティーじゃなかった?』

「そうですよ。よくわかりましたね。もしかしてお会いした事があるのですか?」


 やっぱり私を襲ってきたあの三人組だ!

 でもさー、あのパーティーって……、


『うん……ちょっとだけね。でもさ、言いにくいんだけど、あの三人じゃ大蛇には絶対勝てないと思う……無駄に死人が増えるだけだよ』

「はい、それは私たちもわかっております。なので、三人には大蛇討伐のための調査を依頼したのですよ。大蛇の危険性を調査して伝えれば冒険者ギルドも動いてくれるはずです。俺たちが倒すと意気込んでいたので、説得には苦労しましたよ」


 なるほどね。自分たちの住む町を脅かしていた魔物だし、そりゃあの三人が勝てないくらい強いってのもわかるよね。

 あの三人が死んじゃったら私の〖呪詛〗のスキルのせいになっちゃう? いいや違う!

 仮に死んだらあいつらの実力が足りなかっただけだ。私のせいじゃない。ないったらない。

 そんな結末は寝覚めが悪いから勘弁してほしいところだよ。


『私に引っ越すよう言ってたけど、フェリシアたちは町を捨てて引っ越す気はないの?』

「私たちにとっては生まれ育った土地ですから、逃げるよりも解決する道を選んだのです。あの冒険者たちが情報を集めてくれれば討伐の話も進みますし、私たちの戦いはこれからですよ」


 私たちの戦いはこれからだぁ?

 それじゃ打ち切りエンドじゃないのさ!

 う~ん、不安だなぁ……。


『あの三人だけじゃ心配だから、私も探りを入れてみるよ』

「そうですね……〖鑑定〗を持つ貴方なら正確な情報を集める事ができるかもしれない……。危険な任務になりますが、よろしくお願いします」

『まーかせてっ! こう見えても私、成長性には自信のあるトカゲだからね! フェリシアの町を護ると約束するよ!』

「アテナ……ありがとうございます……!」


 私は後ろ足で立ち上がり、前足で反らした胸をドンッと叩く。

 そんな私にフェリシアは深く頭を下げてお礼の言葉を述べた。


 やる事は決まった。

 まずは拠点を引っ越して安全の確保、それと大蛇の調査だね。

 調査のためには強い魔物がひしめく湖に行かなきゃならない。

 今のままじゃ湖の魔物に勝てる気がしないから、LVを上げて強くなろう。

 よーしやる事いっぱいだ! 頑張るぞー!

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