表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/119

07

 どうやら、俺たちは仄暗い洞窟の中にいるようだった。


「じゃあ、俺はその橋を守ればいいんだな。それと、海に落ちてからマルガリータが俺を助けてくれたのか? そして、この草原まで?」 「後、マルガリータは怖くないのか? 俺は橋を守らんきゃいけないんだよな。盗賊はもう怖くないが、そっちの方が怖い(小声)」

「ええ、海の中からあなたを拾ったの。千騎士のライラックは強力無比の剣と鋼のような執念深さがあるわ。今頃、ラピス城攻略よりあなたを追っていると思うの」「私は怖くなんてないわよ(小声)」

「お頭?」

「え……。あ、今思ったんだがラピス城は何でライラックに攻められているんだ?」


 俺は震える手でレモンをナイフで三等分してから、口の上で果汁を絞った。口いっぱいにレモンの酸っぱさが広がる。


 なんでこんなことに……。

 今は確実に戦争に巻き込まれているんだ。


「ラピス城にいる王女様の治めるグレード・シャインライン国は緑豊かな国。その想像を絶する資源を狙っている周辺の国は荒れ果てた大地を持つ西方のガルナルナ国だけではないのよ。突然、何かの原因で資源がなくなってしまったの東方のクシナ要塞、数十年もの深刻な食糧難を抱える北方のライラックのいるトルメル城と白の騎士の国、干ばつ被害で雨の降らなくなった南方のサンポアスティ国とも戦争しているの」


 俺は身体と手の震えで、食器の上にナイフとフォークを派手に落とした。ライラックに斬られる前に、王女から直々の命令によって、その城。いや、橋を守るナイツオブラストブリッジになったんだ。


「お頭……食糧庫が空になりやした……後は酒樽しかないでやすよお……」

「えええええっ!! マルガリータ! お前、食い過ぎだぞ!」

「あ……ごめん……いつもの調子で食べちゃってた」


 飯が終わると、壁にある髑髏の燭台の明かりで照らされた。俺たちがいる部屋へと、男たちがぞろぞろと集まってきた。


 不思議な事に凶悪な盗賊団の男たちが俺に懇願してきた。


「ああ、お頭に息子がいたなんて……俺たちのお頭はとうに死んでしまった。だから、お頭の息子であるあなた様にどこまでも着いていきやす!」

「お頭がラピス城を守るってんなら任せて下さい!」

「お頭……先代のオニクボ頭領の息子なんでやすよね! なら、俺たちはどこまでも着いていきやすよ!」


 はて?

 これで、辻褄は合ったように思うが……。

 まあ。怖いし。むさ苦しいが結果的に良かった……のか?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ