07
どうやら、俺たちは仄暗い洞窟の中にいるようだった。
「じゃあ、俺はその橋を守ればいいんだな。それと、海に落ちてからマルガリータが俺を助けてくれたのか? そして、この草原まで?」 「後、マルガリータは怖くないのか? 俺は橋を守らんきゃいけないんだよな。盗賊はもう怖くないが、そっちの方が怖い(小声)」
「ええ、海の中からあなたを拾ったの。千騎士のライラックは強力無比の剣と鋼のような執念深さがあるわ。今頃、ラピス城攻略よりあなたを追っていると思うの」「私は怖くなんてないわよ(小声)」
「お頭?」
「え……。あ、今思ったんだがラピス城は何でライラックに攻められているんだ?」
俺は震える手でレモンをナイフで三等分してから、口の上で果汁を絞った。口いっぱいにレモンの酸っぱさが広がる。
なんでこんなことに……。
今は確実に戦争に巻き込まれているんだ。
「ラピス城にいる王女様の治めるグレード・シャインライン国は緑豊かな国。その想像を絶する資源を狙っている周辺の国は荒れ果てた大地を持つ西方のガルナルナ国だけではないのよ。突然、何かの原因で資源がなくなってしまったの東方のクシナ要塞、数十年もの深刻な食糧難を抱える北方のライラックのいるトルメル城と白の騎士の国、干ばつ被害で雨の降らなくなった南方のサンポアスティ国とも戦争しているの」
俺は身体と手の震えで、食器の上にナイフとフォークを派手に落とした。ライラックに斬られる前に、王女から直々の命令によって、その城。いや、橋を守るナイツオブラストブリッジになったんだ。
「お頭……食糧庫が空になりやした……後は酒樽しかないでやすよお……」
「えええええっ!! マルガリータ! お前、食い過ぎだぞ!」
「あ……ごめん……いつもの調子で食べちゃってた」
飯が終わると、壁にある髑髏の燭台の明かりで照らされた。俺たちがいる部屋へと、男たちがぞろぞろと集まってきた。
不思議な事に凶悪な盗賊団の男たちが俺に懇願してきた。
「ああ、お頭に息子がいたなんて……俺たちのお頭はとうに死んでしまった。だから、お頭の息子であるあなた様にどこまでも着いていきやす!」
「お頭がラピス城を守るってんなら任せて下さい!」
「お頭……先代のオニクボ頭領の息子なんでやすよね! なら、俺たちはどこまでも着いていきやすよ!」
はて?
これで、辻褄は合ったように思うが……。
まあ。怖いし。むさ苦しいが結果的に良かった……のか?