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「鬼窪くん! すぐに戻って!! ラピス城が!!」
マルガリータが大きめの箒を抱えて、血相変えて走って来た。どうやら、落下したここは、軍備管理室というプレートが柱に張ってある広い場所だった。
「うん??」
「今度は、白の騎士の国が攻めてきたの!! 今は、ラピス城はクシナ要塞との交戦でほぼ壊滅状態よ! ブルードラゴンだけがなんとかしてくれているの!!」
「えええ!! なんてこった!!」
「フッフッフ。案ずることはないぞ鬼窪よ! たった今から、クシナ要塞はラピス城に同盟するぞ!!」
クシナ皇帝がむくっと起き上がると、そう宣言して、どこかへと急いで走っていた。
よし!! これなら!! いけるぜ!!
クシナはもう味方だ!!
あ! 上にいた猪野間はどうするんだろう? もう味方だよな……。
「鬼窪くん。私も行くわ! ちょっと待ってて!!」
軍備管理室のドアから、猪野間の声が聞こえたかと思うと、こちらに駆けて来た。
「マルガリータ!! すぐ行く!! 俺たちを乗せていってくれ!!」
「え……ええ」
俺と猪野間は手近なパネル式の窓を開けると、マルガリータの箒に乗った。
「じゃ、行くわよ。鬼窪くん。猪野間さん。ちゃんとつかまっていてね! さあ! 飛んで!!」
マルガリータの一声で、大きめの箒は自然と浮いてきた。
すぐさま、箒は大空へと飛翔した。
俺たちを乗せて。