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06

 どうやら、俺は緊張がほぐれてしまって、凄まじい空腹でマルガリータの大きな箒から地面へぶっ倒れた。今朝は何も……食べていないんだ。昨日は徹夜でテスト勉強していて……。もう、単位がやばかったから……。


 でも、いいか。

 ここんなところへ来たんだし……。


――――


「鬼窪くん! ご飯出来たって!」

「う、うーん……うん???」

  

 目の前には控えめな女性の胸が……。俺はどうやら柔らかい草でできたベッドで寝ていたようだった。


「ちょっと、どこ見ているのよ!」

「わ! ごめん!」


 マルガリータのビンタが飛んだ。結果、俺は頬を抑えてのご馳走となった。穴の開いた木でできた大きなテーブルには、この辺では珍しいと言われるパンに、木の実と色とりどりのフルーツ、草原の野獣の肉をマルガリータと一緒に食べた。


「美味しい。お師匠さまのお屋敷の料理より美味しいわ」

「学食よりも美味いな」


 黒の骸盗賊団の男たちが料理を次から次へと運んできていた。中には一度も見たこともない料理が湯気を立てている。

 

 黒い長いハットを脱いだマルガリータは、とても可愛らしい少女だった。 


「ところで鬼窪くん。ご飯食べたら急いでラピス城へ戻りましょう。私、ナイツオブラストブリッジだけど、もうかなり橋を空けてしまっているの」

「そうなのか……。ナイツオブラストブリッジって?」


 大きな豚の丸焼きまでテーブルに並んだ。焼かれた豚の香ばしい匂いが俺の鼻をくすぐった。マルガリータは何故か小柄な体だというのに大食いな人だった。ニコニコとナイフとフォークを駆使して豚の丸焼きをヒュンヒュンと口に放り込んでいるんだ。


「うへ……」


 俺はそれを見てお腹いっぱいになってきたので、木製のコップに注がれた水と木の実とフルーツだけをつまんだ。男たちはまだいそいそとマルガリータのために奥の木や枝でできた部屋から食材をテーブルに運んでいた。

 

「簡単にいうと、橋を守る王女直属の騎士たちのことを言うの。元々、私は更に魔法の力が欲しくて橋をしばらく空けていたの。この草原から更に西のヒッツガルお師匠さまの屋敷で修行していたのだけど、そこからラピス城へ戻る際にあなたが海にたまたま落ちてきたの」

「ラピス城??」

「君がライラックに胸を斬られた時にいた橋を所有している城の名よ。ラピスって、石の意味で、そのままの意味で頑丈な最後の砦なのよ」

「お……お頭……あの……」 


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