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「あ、あれ?? ここって、どこ??」
「西田」
「あ! 鬼窪くん!!」
西田はひと通り周囲を見てから、光の中からこちらに歩いて来た。西田がこちらに来ると同時に、眩しい光が消滅した。アスティ女王は周囲から昇る黒煙にコホンと咳払いをする。
「鬼窪くん。ここはどこ?」
「グレード・シャインライン国の本国だ。それより、西田は大丈夫か?」
「鬼窪くんこそ無事だったの??」
「ああ……」
「良かった……」
「鬼窪! 西田!! 危ない!! 避けろ!!」
俺は後ろにいる通小町の声に、驚いて素早く西田を抱えて、その場で横へ飛んだ。真横の民家のベランダに着地すると、その途端に、ズシンという重い音と共に、大地が多きく揺れ出した。
「う?!」
見ると、大地にぼっかりと穴が空いた。激しいグレード・シャインライン国全体の揺れによって、瓦礫と化したパン屋、鍛冶屋、民家、オシャレな喫茶店など、市街地が地の底へとズリズリと滑り落ちていく。
その中心にいるのは、他でもないグレード・バニッシュ・スターを構えたアスティ女王だった。
あんなの!
どうしようっていうんだ!!
俺は通小町とソーニャたちが心配だった。
だけれど、よく見ると、市街地の片隅にまったく無事な空間があった。