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あ、今のうちにソーニャを探さないと!!
俺は神聖剣を鞘に納めると、サンポアスティ国の兵が現れた道路を走った。さすがに、今は兵はいない。みんな鋼雲剣で吹っ飛んだりで、逃げて行ったみたいだ。
「ま、待ってくれ! 鬼窪!」
振り向くと、大きな陥没した地面に落ちないようにと、気をつけながら小走りで通小町が後ろから追い掛けてきていた。
「おい、鬼窪。ソーニャの居場所がわかるのか?」
「いや、感だ。こっちの道にはいるんじゃないかなって……」
「はあ! バカかお前。でも、いい線いってるぞ。サンポアスティ国の兵たちは、人を探していたんじゃないはずだ。多分、帰ろうとしていたんだ。だから、そっちの道には、ソーニャたちがいる可能性は大だな」
「……」
か、帰ろうと……。
それって。
ま、マズくない?
俺は一目散に、その道を一直線に走る。
道の両脇にあるパン屋や鍛冶屋、民家、図書館などを通り過ぎていくと、大きな広場にたどり着いた。石と砂利の地面には、ソーニャと騎士団が全員が倒れていた。
「な?! ソーニャ!!」
「待て。待て。死んでいないのなら、これくらいすぐに治せる」
通小町はまずは王女のソーニャに近づいた。
「どれどれ、怪我は……有難い! 大したことないな。こんなのかすり傷だ。ただ……」
「ただ?!」
俺は心配して、通小町の隣に並んだ。
「まあ、致命傷でも、命が無事ならいいんだよ」
「??」
俺はソーニャの胸部を見ると、銃で撃たれたようだった。だけど、血はあまり出ていない。……良かった!! 傷は、浅いんだ!!
「鬼窪。ちょっと、脇にどいてくれ」
「ああ……」
「とりゃーー!!」
通小町が光る手を、右から左へ大きく振ると、ソーニャの身体が光り輝いた。と、同時に騎士団のみんなの身体も光りだした。ソーニャの肩がピクリと動いた。騎士団たちも身体のどこかが少しずつ動き出している。
「もう、大丈夫だ」
「ありがとう。通小町」
おやっ? とした顔の通小町が広場の中央を見た。その時、俺たちの目の前にもう一つの光源が生じた。
うん? なんだ? あ、あれ?
でも、この現象。
どこかで……?
いきなり、眩し過ぎるその光の中から、西田とアスティ女王が現れた。