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 うー、寒い!!


 真っ白な雲の中なので、寒くて身体が冷たくなってきた。改めてみてみると、ラピス城があんなに小さくなっている。こんなに早くに箒を操れるようになるなんて、通小町は確かに秀才だな。今、俺は遥か上空のブルー・アクア・クイーンから、グレード・シャインライン国目指して、通小町の乗る箒で飛んでいた。


 もうすっかり、通小町は箒を完璧に操られた。

 当然、飛び方はフラフラとしないし、今のところは、サンポアスティ国の兵も追ってこなかった。


「なあ、鬼窪。秋野のことなんだがな」

「うん?」

「お前のことはよく知っていたぞ。何度も助けてくれたって……」

「そうか……そうだったか……」

 

 俺は前方に座る通小町の横顔を見つめた。それは、遠い前世を想っているようだった。きっと、懐かしいんだろうなあ。


 あ、そういえば……。

 通小町や西田たちはここへ来て、どれくらい経っているんだ??

 俺は気がついたら、ラピス城に掛かる橋の下の海だった。


 もう、安全だと思ったのか。

 通小町は徐々に高度を下げていった。


「なあ、お前。この世界に来てから、どれくらい経ったんだ?」

「あれ? 言っていなかったか? 17年だぞ」

「17年ーーー?!」

 

 え??

 そ、そんなに?!


 俺は驚き混乱した。

 この世界に来たのが17年前だとしたら……通小町は俺と同じく17才のはずだから……ええと……。


 カモメが数羽向こうから飛んできた。

 通小町は箒に乗りながら、カモメに手を振り挨拶をしている。


「そうだぞ。バカか鬼窪。考えてみろ。こんな凄い力を1年や2年で習得できるわけないだろう?」

「う……」

「私も混乱したぞ。産まれたのが、ガルナルナ国のその辺の村で、物心ついた頃から、鬼窪のことを思い出してきて……あの時はさすがに大騒ぎだったぞ」


 え?

 なんで??


 俺の記憶が蘇ると大騒ぎしたんだ?


「なんたって、鬼窪と一緒に、学校生活や友達や元の世界での生活。つまり、前世の記憶が蘇ったからだ。そりゃ、驚くぞ。過去、いや、前世の記憶がいきなり波のように、頭に押し寄せてくるんだぞ。村中が大騒ぎして混乱するのが当然だ」

「??」

「私は産まれながらにして、記憶喪失のようなものだったんだ」


 うがーー!

 俺まで頭が混乱してきたぞ!


 

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