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「オニクボーー!! 女王は俺が倒す!!」
「オニクボよ! 早まるな!!」
「ああーん?」
俺が女王の間へと突撃すると、そこにはすでに大勢の死骸の山があった。オニクボは髑髏のナイフを鞘に収めて、腰にぶら下げるところだった。通小町が小さめな箒から降りて、
サンポアスティ国の兵たちを介抱しようとするが……。眉間に皺を寄せてこちらに首を振った。皆、通小町でも手の施しようがないんだ。
エスニックな窓ガラスから、未だにサンポアスティ国の大勢の兵たちがサーフィンでこちらに向かってきていた。
「西田は?」
ここにはいない。
どこへ行ったんだ。
俺は西田がこの城にいたことをオニクボに尋ねた。そっぽを向いているオニクボは何も言わずに立ち去ろうとした。俺はオニクボの前に立ちふさがった。
「それにアスティ女王は?」
「ふん? 恐らくどこか遠いところだ……。俺の鼻でも臭いが嗅げないんだからな」
「臭い??」
臭い??
犬みたいに鼻がいいのかな??
あ、そうか。アスティ女王と西田は西田の転移魔法でどこかへ!
通小町が小さめな箒に乗って、俺を手招きする。
「西田? あいつもこの世界にいるのか?」
「さあな……」
「鬼窪。ここはオニクボに任せて、私たちはグレード・シャインライン国の本国へ向かうぞ」
「あ、ああ。本国も大変だったな」