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「鬼窪! どけ! 見せてやる! こっちの世界で必死に勉強して習得した奇跡の力を! どっりゃーーー!!」


 眩い光が地面で大の字になって倒れているオニクボを包み込んだ。

 空を見上げると、箒に乗った通小町だった。

 小さめの箒でフラフラと橋の上へと下降している。

 だけれど、後ろには誰も乗っていなかった。

 

「通小町! ガーネットは?!」

「バカか鬼窪! あれから一体、何日掛かったと思っているんだ! ガーネットは、グレード・シャインライン国で、今もサンポアスティ国の兵たちと戦っている! だが、大丈夫だ! ソーニャが騎士団とやって来て、相手の弱点である長期戦へと持っていったんで、この戦争は、こっちの方が有利になってきているんだ!」


 俺はひとまずはホッとした。

 死にそうだったはずのオニクボが目を開け、何事もなかったかのように立ち上がり、それと同時に、周囲に異様なほどの威圧感がばら撒かれた。


「ふぅーー、生き返ったぜーーー!……いやー、鬼窪くんの仲間はさすがだなあ。死んだらおだ仏だったかもだが……怪我が治ったぜ!! さて、俺はちょっとアスティ女王に用ができたんで、とっとと行ってくるぜ。久しぶりに血が騒ぐ……鬼窪くんは、付いてこない方がいいかもな」


 オニクボはこれまで一度も見たことのない残忍な笑みをした。

 俺は正直、気圧される。


「いや、俺も行く!」

「こらー、鬼窪! 私も連れてけ! というか! 二人共箒に乗っかれ!」


 通小町は鬼窪とオニクボという名前が二人いることをまったく気にしていないようだった。一人は俺で、もう一人は……最凶最悪と呼ばれた黒の骸盗賊団の頭領だ。敵に回したら、最後……命の危険よりも危険な目にあうんだ。


 橋の上の強風の中。

 通小町は箒に乗って、上手にバランスを取っていた。

 さすがに、秀才だけのことはあるんだなあ。


 ふと、俺はオニクボの方を見ると、オニクボはいつの間にか、姿を消していた。俺も急いで、アスティ女王のところに行かないと、そこには西田がいるんだ。

 

 俺だけ通小町の箒に乗ると、俺はちょっと疑問に思ったことを言った。


「なあ、通小町。死んだ人も蘇らせることって、できるのか?」

「いや、もっと勉強すればできるだろうが……今は、まだ無理だ」

「そうか……よし! 急いでアスティ女王を、倒そう! ……女王を倒さないと、この戦争は終わらない! 通小町! 急げ!」

「私に命令するなーーー!!」


 通小町はアスティ女王の居場所を知っていたようだ。その方向。ここラピス城の橋の上から、南へと飛んだ。


「かなり真上にあるんだ! 鬼窪! 私はまったく戦いはできない! だから、例え一人になったとしても、必ずアスティ女王を倒せ! 怪我は私が治してやる! どんな怪我だろうがな!」

「わかった! 任せろ!!」」


 風圧で耳が痛い。

 通小町はかなりの高度を飛んでいた。


 真上を見つめていると、やっと目的地を見つけた。

 巨大な入道雲とその中央に浮かぶ。

 サンポアスティ国の戦闘用雲海域城だ。


 そこに、物凄い速さのブルードラゴンが飛んでいった。

 その上に乗っているのは……俺は背筋がゾワリとした。

 他でもないオニクボだった。

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