53
そこは蔓の張り巡らされた外廊下だった。俺と大きな箒を担いだマルガリータは必死に女王の間まで走る。
「はあ、はあ……鬼窪くん。私の体力じゃ残念だけどここまでね……後は鬼窪くんだけで戦って」
「ああ、わかった! そうだマルガリータ! 通小町に治してもらってくれ。多分、体力も回復するから」
「わかったわ」
俺はマルガリータを残して、蔓を避けながら、ひたすら外廊下を突っ走る。
南国を思わせる高価な花瓶や、花が飾られたカラフルな外廊下だった。内廊下には、書斎が見えたり、客間が見えたりするが、どれも無人だった。
等間隔にある外へと繋がる巨大なガラス窓には、今も真っ白な入道雲が見える。
「うおおおおーーー!!」
「ヒーハー――!!」
「ラピス城の騎士だ!! 仕留めろーーー!!」
サンポアスティ国の多くの兵が巨大な窓ガラスを突き破って、サーフィンで俺のいる外廊下へと突っ込んできた。
「うへえええええーーー!!」
俺は驚いて、神聖剣を闇雲に振る。
途端に、サンポアスティ兵の数発のライフル銃が火を吹く。一発の弾が俺の肩をかすった。
「痛ってーーーー!!」
「大丈夫?! 今、場所を移動するから!! 強制転移!!」
「へ??」
突然、俺の足元から凄まじい光が発した。激しい光で目を覆うほどだった。
と、激しい光が止むと、いつの間にか外廊下ではないところに俺は立っていた。
「うん?? こ……ここは、きっと城の外から見たサンポアスティ国の女王の間だ!」
間違いないはずだ。
ここは女王の間だった。
「お主が鬼窪か?」
「へ……え……」
「お主が鬼窪かと聞いている?」
「あ……」