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「はあ、はあ、はあ……まだ走るのか……」


 俺は再び森の中をクシナ要塞へと走っていた。

 今度は夜の森だ。夕日が完全に沈んでしまって、辺りは漆黒の闇が覆う不気味な森になっていた。すると、手にした神聖剣が光りだした。その明かりに照らされ、暗闇が支配していた不気味な森はその美しさを取り戻した。

 

 鳥の囀りは消え失せ、フクロウのホー、ホー、という鳴き声は夜のままだけど。

 俺は今度も神聖剣に救われたと思った。

 ハイルンゲルトに感謝しないとな。

 何故なら所々に、地面に盗賊団が掘った落とし穴が大口を開けていたからだ。


 ふぅ―、こんな落とし穴には落ちたくはないなあ。

 ぶるっと、震えて心底そう思った。

 さすがに、落ちたら終わりだ。

 その証拠に、大口の中にはクシナ要塞の騎士たちが、無残な姿となって地の底で蹲っていた。


「まだ、クシナ要塞が見えないなあ。 あ、そうか。要塞自体の移動はゆっくりだったから。だから、まだラピス城との距離はあまり縮まっていないんだ」

「あら、鬼窪くん。どうして戻ってきたの?」


 上を見ると、真っ白いものが太腿の隙間から……。


「どこ見てるのよーー!」


 

 いきなり超低空飛行で箒がすっ飛んできて。

 パチーン!  

 突然、振り上げられた平手打ちが俺の頬に炸裂した。


 いたたたたた!

 突然、俺の上に現れたのは誰だよーーー!!


 よく見ると、箒に乗ったマルガリータだった。その大きな箒の後ろには、ヒッツガル師匠がいた。

 

「アハハハ……。鬼窪くん災難だったね。それはそうと、クシナ要塞は何故か動きをピタリと止めたんだ」

「え?? クシナ要塞が止まった??」 

 

 俺は頬を抑えて驚いて聞き返してしまっていた。

 ひょっとして、故障だったりして……。


「そうよ。なんでだろうなあって、思ったら、一人の老人がクシナ要塞から現れて、一旦。戦いを休止しようって提案してきたの。クシナ皇帝がソーニャ様にどうしてもお会いしたいって……」

「クシナ要塞が戦争の一旦休止を??」

「ええ……。何か考えがあるのは目に見えているわ。でも、今はどんなことでもいいの。それだけ、クシナ要塞が動きを止めてくれたのは、私たちにとってとてもラッキーなことなの。どうしても、私たちの攻撃魔法じゃクシナ要塞をの進行を阻止できなかった。この間に、私とヒッツガル師匠は、ソーニャ様を呼びに行くわ」

「ああ……」

「鬼窪くん。一ついいかしら? 休止しているからってクシナ要塞には絶対に気をつけてね。ちょっとした油断でも、後々命取りになってしまうことがあるの。それが戦争というものよ」


 俺は身震いした。

 そうだ。

 今は多くの強国と戦争中だったんだ。


「あ! それより、通小町とブルードラゴンは?」

「一足先にラピス城へ戻ったわ」


 通小町も学校どうしたのだろう?

 でも、人生は学校ばかりじゃないよな?! 

 うん??

 自分で言ってて、正論のようなそうでないような??


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