表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/119

39

 俺は大きな箒から地に着地すると、森の中をラピス城へ向かって駆け出した。枝や葉が盗賊衣装に絡まるが、全速力だ。けれども、森を抜け切ろうとしたところで、クシナ要塞からの騎士団と出くわしてしまった。どうやら、駐屯地のようなものが近くにあるようだ。


 20人くらいの騎士団はさっきまで鎧を脱いでいたかのように、鎧の一部をけたりしているからだ。まるで、寝起きのような仕草に……。


「ラッキー! 隙だらけーー!」


 俺は騎士団のど真ん中に飛び込んだ。

 神聖剣で鎧を着けていない箇所を狙って三、四、五人と続いて斬り込んでいく。一人。騎士団長らしい男だけは、鎧を完璧に装着し剣を構えていた。


「まだここにもいたのか! おのれ黒の骸盗賊団めーー! これ以上、手こずらせるなーー!」

「へ??」


 騎士団長は上段から剣を振り落とした。

 俺は素早く回避すると、兜と鎧の隙間に髑髏のナイフを投げつけた。

 だが、騎士団長の動きは俊敏だった。

 すぐに剣で髑髏のナイフをはじき返してしまった。

 

「うっ!」


 

 俺は神聖剣を構え直し、正眼に構える。


 誤算かな?

 このまま戦いが長引くとクシナ要塞の騎士の援軍とかが増えてしまうかな?

 

 うーん……。


 その時、薄暗い森の中から一本の矢が飛んできた。

 慌てて避けるも俺の腕に突き刺さってしまった。


「痛ってーー!」


 髑髏のナイフは投げてしまったし、どこから弓を射っているのかもわからない。早くにラピス城へ行かないといけないのに……。



 俺の腕から血が滴り落ちる。

 援護射撃はまだ続いていた。


 飛んでくる矢を神聖剣で弾くと、今度は騎士団長が斬りかかる。

 

 俺は額の汗を拭う。

 かなり疲弊してきた。


「うりゃーー!」

「うん? へ??」

  

 空から女の子の声と同時に光が降り注ぐ。

 俺の身体を光が包み込むと、あっという間に腕の痛みや身体中の疲れが消えていく。


「回復は私に任せろ! だから、鬼窪はそいつらを倒せ!」

「か、通小町か?! わかった! 任せろ!」 


 俺は木々や枝葉で見えにくい空に向かって、言うと、軽いステップを取り戻した。色々な角度から来る矢を神聖剣で斬り落としながら、騎士団長の懐へ突進した。


「どりゃーー!! もらったーーー!」


 神聖剣を下から振り上げる!


 騎士団長の鎧と兜が腹から頭まで二つに分離した。

 騎士団長は軽く血を噴き出して、倒れた。


 浅く斬ったとはいえ、神聖剣の切れ味だからなあ。


「よし! ありがと通小町! 俺はラピス城までまた走って行くよ!」

「……ふふふふふふふふふふ……」


「……」


 空から通小町の不気味な笑い声が木霊した。その笑い声は、俺は何を意味しているのかちっともわからなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ