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 来た時は美しかったガルナルナ国の街並みは至る所から煙が上がっていた。もう夕暮れ時なので、夕日の明かりに照らされた街の人たちは、消化活動にみんな駆り出されているみたいだった。大通りは街の人々があっちこっちへと走っている。


 でも、さすがはマルガリータだ。

 軍事施設以外は無傷そのものだった。


「どう、神聖剣にハイルンゲルトも知らない秘められた力はあった?」

「いや、普通に戦っていたからわからないんだ」

「普通に戦ったの! 鬼窪くん。凄いわ!」


 マルガリータは感心した。

 大きな箒はブルードラゴンのまた背に括り付けてあった。


 ブルードラゴンの背に乗った俺たちはラピス城まで高速で飛んでいた。ブルードラゴンも早く戻りたかったのだろうか? 今では、あっという間に海の上だ。


 海の上に浮かぶ大型船は、まだ星の数ほどあった。

 もう、ガルナルナ国へ向かってから一日はラピス城を空けている。 


 ソーニャとガーネットは無事だろうか?


「ひぃーーええええええーーーー! 高い! 速い! 高い! 速い!」


 茶髪を肩までピッタリと伸ばしていて、背がやや低く。分厚いメガネを掛けている通小町がブルードラゴンのあまりの速さと高度に怖がっていた。

 風圧もそれなりなのだから尚更だろう。

 そういえば、通小町にとって、空を飛ぶのは初めてのようだ。


「かなりラピス城を空けてしまったからねえ。もう急いで戻らないと。この速さなら夕食までには戻れるだろう」


 ヒッツガル師匠が身を引き締めてから、こちらへ微笑んだ。

 

 俺は心配になって来た。

 今になって、ガーネットが残ってくれて良かったと思う。

 だけど、たった二人で大丈夫だろうか?


「ブルードラゴン! もっと速く! 急いでくれ!」


 ブルードラゴンは、俺の言ったことを理解したのか更にスピードを上げた。視界にグングンと美しいラピス城が近づいてくる。もう、下は荒れ果てた草原だった。


「ひぃーーー! おのれ鬼窪ーーー! ウキ―――!」


 捕虜の通小町があまりのスピードにキレた。

 あと、捕虜といってもただ俺の前にちょこんと座っているだけだった。

 

 この世界に手錠なんてものもはないしな……うん?


 俺の目の前の聖女の恰好をした通小町のスカートが、風圧に耐えきれずに盛大に捲れてしまった。

 ヒッツガル師匠はマルガリータと話し込んでいるから、何も見ていなかったが……俺だけピンク色に顔を真っ赤にした。


「鬼窪! 見―たーなー!」


 鬼の形相で振り向いた通小町は、右手を思いっ切り振り上げる。

 結果。高度600メートルでのビンタは俺を失神寸前にまで追い込んだ……。


「ブルードラゴン! 偉い! もうラピス城よ!」

「ああ……さっき、マルガリータと話していたんだが、ラピス城……性格にはグレード・シャインライン国を狙う強国は、東方のクシナ要塞、北方のトルメル城と白の騎士の国、南方のサンポアスティ国が残っている。いずれも伝説級の強国だぞ!」


 下方のラピス城の橋の上はすでに激しい戦争中だった。

 

「わかった! すぐに降りよう!」


 黒煙が舞い上がり、激しい怒号のする橋の上。一体、今度はどこの国が攻めてきたんだろう?


 俺は神聖剣を構えて、マルガリータに合図を送った。ブルードラゴンはすぐにキレるからある意味危険だった。


「了解! じゃあ、飛ぶわよ! 鬼窪くん! お師匠は通小町さんをお願いしますね!」


 大きな箒にマルガリータと俺は乗った。 


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