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03

 白い鎧の大男の方が脇腹を抑えながら剣を構え直すと、俺を睨んだ。


 俺はさすがに震えだしてしまった。

 もう、体が動かないと思った。


 誰だ??

  

 こいつ??


 俺はさすがに震えだした。

 もう、ほんとに怖く手足が動かないんだ。


「……お、鬼窪……功一……」

「……変わった名前ねえ。鬼窪?! え? !確か聞いたことあるわ!! その名前!! あ、私はソーニャよ」

「へ??」


 俺たちの話を聞いていたのか、白い鎧の男は急に真っ青な顔になった。


「ま、まさか! その名前!! お前! 黒の骸盗賊団の頭領の息子か!!」

「はあっ??」

「そういえば数年前に行方不明になったと聞いたぞ! よりにもよってラピス城にいたのか?! 成敗して名を上げてやるぞー!」

「わっ!! ひっ!!」


 な、何! なんだ?!

 俺の名前に何が?!


 白い鎧の男が俺に突進してきた。

 俺は恐怖した。

 

「我が名はライラック! 最強と謡われる誇り高き四大聖騎士の一人だ!!」

「ひええええーーーーーー!! ちがーーーーう!!」


 俺はその場で蹲ろうとしたら、急に金縛りから解き放たれる。

 そして、必死に逃げ回だした!

 でも、恐怖と混乱でさすがに足に力が入らない!


 なんでこうなるんだーーー!!

 て、いうか! ここどこーーーー!!


「どこから来て、どこへ行くのかもわからないオニクボの息子よ! ここに王女の名の元に命じます! この国のためにこの橋を守りなさい!」

 

 ソーニャはライラックから命懸けで逃げ回る俺に急に大声を発した。


 一瞬、辺りの喧騒が聞こえなかった。

 無数に飛んでくる大砲の弾や矢も音を失った。


 俺はハアー……っと、ため息をついた。


 それでも、何故か大きな声で「わかった!!」と答えてしまったていた。きっと、なんとなくほっとけなかったんだと思う。普通の鎧の人たちの奮闘ぶりを見ていると、全滅寸前なのに必死だったからか……。こんな俺でもまだ意地があったからか……。


「ぬおおおおお!! 取ったぞーーーー!!」


 ライラックの剣戟が激しくなり、剣そのものが太陽光に反射して、きらりと輝きだした。

俺はライラックの剣から必死に逃げながら やっとのことで逃げ回っていたのに……でも、もう無理だろう……。俺は橋の手摺に近づいて観念した。


 短い人生だったな……。

 ここで俺は死ぬんだな……?

 

 そう……わかってしまったんだ……。



「オニクボ!! 危ない!!」


 ソーニャが急いで割って入ったが、ライラックの大振りの袈裟斬りの長剣を弾く前に、辺りに激しい火花が飛び散った。今度は、大女の大剣がライラックの剣を弾いていた。三人の激突に、だが、剣もない俺は何もかもすでに手放していた。


 お手上げ状態だよ。


「おのれーーー!! 邪魔するなあーーー!!」


 ソーニャと大女を掻き分けて、ライラックの剣が再び振り下ろされる。ソーニャと大女が加勢してくれている。そうこうしているうちに、俺は石造りの橋の手摺りから、呆気なくそのまま落下してしまっていた。


 目を閉じると、しばらくしてザブンっと音と共に耳に水が入りだした。


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