ガルナルナ国 その3
風が気持ちが良いな。
それだけ景色もいい青一色の空で、俺たちはブルードラゴンの背から下を見つめていた。人気のない城下町を見下ろしていくと、ブルードラゴンが高度を下げていった。そのお蔭で、ガルナルナ国のある西方領地全体がかなりのスピードで大きくなってくる。ガルナルナ国は焦げ茶色の田園と中世を思い起こす落ち着いた黒の建造物に囲まれた美しい白い王城が見えるとても素晴らしいところだった。
綺麗だ……。
ガルナルナ国……。
と、俺は素直に思った。
ラピス城と同じくらいだ。
あの王城にアリテア王が……。
俺は目を閉じて神聖剣を力強く握る。
神聖剣……。
お前だけが頼りだ……。
「綺麗!」
「綺麗だ!」
遅れてマルガリータとヒッツガル師匠も異口同音するが。
「あ?! 撃ってきた! キャ――! ブルードラゴン避けてーーーー!!」
マルガリータが絶叫した。
地上から物凄い数の砲弾が、ブルードラゴンへ向かって飛んできた。どうやら、一斉対空砲火だろう。
轟音と共にブルードラゴンの巨大な胸に集中して当たり周囲を黒煙が覆う。
凄まじい爆撃にブルードラゴンが瞬間、勢いよく首を垂直にあげて降ろすと同時に……信じられないスピードでガルナルナ国の王城へ向かって突っ込んでいった。
俺はこの時、ブルードラゴンの性格がなんとなくわかった!
「ダメだ! きっと、このドラゴンすぐにキレるんだ!」
「キャーーーー!!」
「うわああああーーー!」
あっという間に恐るべき風圧が俺たちを襲ってくる。
その恐ろしい風圧に耐えきれずに、マルガリータとヒッツガル師匠がブルードラゴンからすっ飛ばされてしまった。
「な?! マルガリータとヒッツガル師匠!! あ、あれれ??」
大きな箒ごと落ちたマルガリータは空を飛べるから、たぶん大丈夫だろうと思うけれど……俺は、このまま王城へ?!
「ブ……! ブルードラゴン……!! もしかして?!」
超スピードの俺を背に乗せたブルードラゴンは、激しい衝撃音と共に頭から王城へと突っ込んだ……。
それと同時に、俺も意識を手放した。
…………
「う……。うーん……」
気づくと、俺は何か固いものに下敷きになっていた。上に乗っかっているものは、瓦礫と化した白い大理石の壁だった。それを押し上げて、脇にどかし、なんとか起き上がる。
いってーーー!
どこだ?
ここ??
ま、まさか!
ガルナルナ城?!
俺は恐る恐る辺りを見まわしていた。