28
あ! その証拠に土が盛り上がっているところがある!
そういえば、黒の骸盗賊団の人たちから最初に襲われた時だ。盗賊団は土の中からでてきたんだっけ。黒の骸盗賊団の人たちは何か土の中へ入る技術があるんだ。
よーっしっ! オニクボがどこにでてくるのか、わかったもんじゃないが……これは逆に勝機なんだ!
俺は緊張で冷や汗が出たが、片手で掴んだ神聖剣を振り上げると、素早く動く地面の盛り上がったところを狙って。突き刺した。もう片方の手は髑髏の短剣を万が一のために構えていた。
「ぐわ!」
「やっりーーー! 当たった!!」
土の中から勢いよく右腕を抑えてオニクボが飛翔すると、空中でナイフを構え一回転した。俺は冷や汗を拭って、片手の神聖剣も慎重に構えた。
だが。
「フッ! やるなあ……だが、俺さまはどんな奴よりも危険だぜ!」
オニクボは地面に着地すると同時にマルガリータの背後に回った。首筋にナイフをあてがうと、鋭い目つきで俺に向かって何かを言おうと口を開けた。けれども、何故かマルガリータは静かにまったく別の方向を見つめていた。
「うん?? どうしたんだ? 嬢ちゃん? 抵抗するなら、このままブッスリいくぞ……??」
「鬼窪くん!! 伏せてーーー!!」
マルガリータの絶叫が木霊した。
俺は慌てて伏せると、轟音とともに激しい閃光が周囲を包み込んだ。俺の視界が白一色になった。その次は、超高温が俺の全身を焼いた。立っているのもやっとの物凄い熱さだった。
「あっちちちちいいいいーーーー!!」
体中の汗が瞬時に蒸発し俺はその場でドサッと倒れた。とてつもない高熱で気を失う寸前。俺の真っ白だった視界が、徐々に視力を取り戻してきた。そこには大量に煙が上がった荒れ果てた地が広がっていた。荒れ果てた地はよく見ると地面が陥没していた。まるで、何かとてつもないもので広範囲に抉られたみたいだった。
「さっすがお師匠……でも、敵はあっちよ……」
「こ……こんな奴を暗殺しろって?! 冗談じゃねえ! 頭どうかしてるぜ!!」
オニクボのそう吐き捨てるような声が聞こえ。それと同時に、派手な土を掘る音がした。
きっと、オニクボは逃げたんだな……でも……一体? 何が起きたんだ??
俺はその時、ヒッツガル師匠の魔法のことを思い出しながら意識を手放した。