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「うーん。お腹空いた……あら、良い匂い?!」
マルガリータは顔を上げると、真っ先に下を向いた。
「あ、食べ物がありそうなお屋敷じゃん!! じゃなくて、ヒッツガルお師匠様のお屋敷だわ!」
「よ、よし! あ!あれれ?? あれは?!」
「うん?? ここからじゃ、小さくてよく見えない! けれど……最悪みたい」
下方には複数の黒の骸盗賊団がヒッツガルの屋敷を囲んでいた。
「そんな……生きていたなんて……。鬼窪くん! このままだときっと正体がバレるてしまうと思うわ! ほら! あの人!」
「え? 誰だ? ここからよく見えるなあ……」
「あそこに薄っすら見える人影……こんな上空まできてしまう威圧感! 間違いないわ! あの人! あの史上最凶最悪の黒の骸盗賊団の頭領オニクボよ!」
徐々に地面が近づいてきた。
きっと、ブルードラゴンも野生のカンで危機的状況。このヤバさに気が付いてくれたんだ。下の草原には、派手な緑色と赤色の服を着た初老の人物が黒の骸盗賊団に囲まれ……倒れていた。
「お師匠!!」
マルガリータは咄嗟に火炎弾を黒の骸盗賊団の端に向かって数発放った。
凄まじい豪炎と爆風で盗賊団が何人か吹っ飛んだが、それと同時に黒光りするナイフがマルガリータの胸部へ向かって飛んできた。
「あ、危ない!!」
俺は即座に神聖剣でそのナイフを弾いた。
「ち、ちくしょおおおお! こうなりゃ!」
俺は焦って、ブルードラゴンが草原に着地する前に地面へと飛び降りた。
強い衝撃を足へ受けると共に、荒れ果てた草原に着地した。幸い。ヒッツガル師匠と思しき人は特に目立った外傷はないようだ。
「良かった。うん??」
突如、俺はゾクリとした。
俺の顔を一陣のどす黒い風が吹きつけた。