02
俺はホッとすると同時に尻込みした。
少女が気合いと共に長剣を振り回して、大勢の戦いの間へと突っ込んでいったからだ。
ここはどこだ!
お、俺に……どうしよっていうんだ!
なんだか。こ、ここ、怖いぞ!
まるで、戦争の最中みたいだぞ!
徐々にだが、土煙を上げて戦っている連中がこちらに近づいてきた。よく見ると、橋の向こう側の人たちは青い鎧で、こちらの城側の人たちは普通の鎧だった。どう見ても、多勢に無勢だった。城側が圧倒的に不利だ。そして、あの少女だけ白い鎧かと思ったが……。
突然、一人の青い鎧の男が俺に斬りかかってきた。咄嗟に足に力を入れて後ろへ逃げる。
「ひえっ!」
それを見て、大女が大剣を構えこちらに駆けて来きた。
「加勢に来てやったよ!」
助かった!
大女の大剣が青い鎧の胴をなんなく斬り裂いた。青い鎧の人が倒れた。
「ヒッ! し、死んでる!」
初めて死んだ人を見て、逃げ出したくなった。
当然だが俺は逃げの態勢から、怖くて足が震えていた。正門まで後ずさりしていると、数本の矢が前方から飛んできた。矢は俺の脇を通り過ぎ、地面に次々と突き刺さっていく。
なんとかなったが、もう後がなかった。
う……。
いつの間にか、戦いの間が城の正門まで近づいてきてしまっていた。白い鎧の少女が同じ白い鎧の男と戦っている。
「王族の名にかけて! 負けられない!!」
「なんの!! 王女よ!! その命貰ったぞーー!! ぐわっ!!」
白い鎧の少女の首元に白い鎧の男の一閃が繰りだされた。
だが、近くにいた俺は、なんとなくほっとけなかった。とっさにずっしりとした白い鎧の男の身体に体当たりをしていた。
あれ?? 体が自然と動いたんだ。
白い鎧の華奢な少女は態勢を整えて俺の脇まで来ると。
「助かったよ! 君! 君は、なんて名前? どこから来たの?」