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俺は自然とキュッと、力の入った目でガルナルナ国の正規軍を見つめていた。
全ての兵士……いや、騎士が馬上から旗を掲げている。
見たこともない旗だ。
恐らく、あれがガルナルナ国の国旗なのだろう。あれ?? 土煙で良く見えなかったが、馬に乗っているのは全ての騎士じゃなかった。あれは、兵士だろうか? 軽装の青い鎧を着た兵士たちは歩いていたり、大きな迷彩色の戦車を押していた。
迷彩色の戦車は手押しのようで、前方に大筒があるけど、後ろは車輪と台だけだった。乗っている人も二人だけで、後は手押しの人たちが大勢後ろに付いていた。だからか、戦車は動きも遅い。
空を飛んでいる俺たちが背に乗っている巨大なブルードラゴンに、ガルナルナ国の正規軍が気が付いたようだ。
急に幾つもの戦車の大筒がこちらに向かって火を吹いた。
高速の砲弾が飛んでくる。
ヤ……ヤバいぞ!!
「ブルードラゴン! 避けろーー! 緊急回避だーーー!」
「あ!!」
「あ、ソーニャーー!!」
俺の叫びも虚しく。ブルードラゴンの胸に砲弾が次々と当たっていく。爆発の衝撃でソーニャがドラゴンの背から落ちてしまった!!
白い鎧が太陽の光を反射しながら遥か地上へと落下していく。
だが、更に悪いことにはブルードラゴンが怒りだして、ガルナルナ国の正規軍向かってドラゴンブレスというのを口から吐き出した。
凄まじい青い炎だった。
遠い西の草原がガルナルナ国の正規軍と共に一瞬でただの焼け野原となった。
俺はソーニャを追って、遥か地上へと落下した。俺の身体は急速にブルードラゴンの体から離れていった。
気づけば、地上へ落下しているソーニャまで俺は無我夢中でジタバタしていた。
だけど、白い鎧を着たソーニャの方が重いのか、なかなかソーニャの身体まで近づけなかった。落下中の風の切るような音で耳が痛い。
それでも俺は必死に目を開けて、ソーニャの身体を追った。