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うん? それにしても、どうやって封印されたドラゴンを復活させられるんだろう? それらしいことができるのはマルガリータだけだろうに……。
大食堂の空気は未だに豪勢な料理の美味しそうな匂いで満たされていた。
俺は大食堂からの扉から、正門目指して突っ走るソーニャの後を追っていた。ソーニャはやはり王女だった。どこかしら、焦っているかのような感じで一目散に城外へと走っていた。俺も橋を守ると決めたし、ソーニャを追い掛けながら辺りを見回した。調度品やドアが全て石造りで、ここはラピス……石という名前の通りの城なんだなと思った。
「わっ!! ソーニャ?!」
石造りの正門を抜けると、なんとソーニャはすぐに白い鎧を着たまま海へと飛び込んだ。
「こうなりゃ! 水のハンマーの俺も!」
俺もこの盗賊団の服装のまま海に飛び込んだ。
ザブンッ!
と、俺はあっという間に轟々と音のする激しい水の流れの海の中の奥深くへ沈んだ。
そういえば、この橋の下の海は俺がこの世界に来た時に最初にいたところだ。
一体。
なんでこんなところに来たんだろう??
ソーニャは水の神殿の場所を知っているようで、真っ直ぐに海の底へと泳いでいる。
海の中の水はやや透明だった。
(うん?!)
海中でソーニャは平泳ぎをして下方へと向かっていのだが、プレートメイルの白い鎧と白いマントによって、普段は見えにくい白のミニスカートの隙間から……。
(おや?! なんか真っ白な……??)
俺は顔を真っ赤にして頭を強く振ると、
(今はラピス城の最大の危機なんだ! 貴重な王族のパンツを見てる場合じゃないんだ!!)
そろそろ息継ぎが必要になるころには、海の底に朽ち果てた古い神殿が見えてきた。恐らくあれが水の神殿だ。
先頭のソーニャは水の神殿の居所をしっていたようだったが、さすがに入り口までは知らない様子で、しきりに水の神殿を中心にぐるぐると泳いでいた。