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が、ライラックは振り向き様に大盾で短剣の突きを弾いてしまった。
俺は軽いステップでバックして態勢を整えた。
ライラックも後ろへ後退して態勢を整える。
「ふうっ、ふうっー……うう……。貴様! 本当に私に斬られそうになって、ただ逃げ回っているだけだった。あの時のオニクボの息子か?!」
「ああ、そうだ!! いや、ちがーーう!! 俺は普通の高校生だったんだ!」
「何? 高校生?? とは、一体何だ!!」
「ただの学生さ!!」
俺は神聖剣を遥か上空へ向けて構えた。
そして、気合いと共に最上段からの神聖剣を振り下ろそうとした。
が、遠い橋の方から数発の大砲の弾が俺に向かって飛んできた。
俺を爆風と熱が襲う。凄まじい轟音と衝撃と共に目から火花が飛んで、耳がキ―ンと鳴った。何が起きたのかわからない。激しい頭痛と耳鳴りを抑えて、周囲を見回すと、いつの間にか俺の前には、風に包まれたマルガリータが右手を挙げて立っていた。激しい砲撃を空気が振動するほどの突風で全て弾いてしまっている。砲弾は橋から海の方へ吹っ飛んで爆発する。
「ふーっ、危ない。危ない。……鬼窪くん無事?」
「ありがとうな。マルガリータ」
「無事で良かった。大砲の弾は私に任せて。でも、今度からは騎士団たちはどうしようもないからね。自分でなんとかしてね。じゃ!」
「へ?? ライラックもか??」
マルガリータは再び大きな箒へと跨ると空を飛んだ。そして、次々と撃たれる砲撃を風で弾き飛ばしていく。
「騎士団の数はまだ半端じゃないし! お、俺だけでどうしようっていうんだ!!」
「ふふふふっ。よーっし、これならば! オニクボを数で押し潰せーー!! 全軍突撃ーーー!!」
橋の向こうから大勢の騎士団がライラックの命を受けて、俺に突撃してくる。