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一瞬で青い鎧そのものや鋼の盾すらも切り裂く神聖剣。
橋の凸凹も気にしない俺の軽やかなステップ。
向かってくる相手の動きが逐一気づけてしまう研ぎ澄まされた直観。
それらが俺を最強にしていた……。
俺は一呼吸すると、薙ぎ払った青い鎧の人たちが辛うじて生きていることにホッとした。それと同時に、火炎による橋からの熱や煙で激しく咳き込んだ。ラピス城へと繋がる唯一の橋はマルガリータと俺によって、あっという間に形勢逆転していた。
「あ! 鬼窪くん! 危ない!!」
空中からのマルガリータの叫びで俺は躱す態勢を一瞬速く作れた。
大勢の青い鎧の人たちの中から光る剣が飛び出して俺のマントの端を切り裂いた。
「ラ……ライラック……か?」
「オニクボよ! 必ず戻って来ると信じていたぞ!!」
多くの青い鎧を跨いで突進してくるライラックの白い鎧が迫る。俺は神聖剣を片手に持ち、髑髏が彫り込まれた短剣も片手に持った。
「ライラック! この橋を守るためにここで決着を付けてやる!!」
神聖剣とライラックの剣から火花が飛び散った。
遥か前方の橋では爆音が木霊する。未だマルガリータが空中を飛びまわり数千の青い鎧の人たちと交戦中だった。
熱気と熱風で汗が頬を伝った。
俺から仕掛けた。
神聖剣を思いっきり振り上げ、ライラックの懐に突撃する。
だが、ライラックは大盾を真っ正面に構えると、剣を斜め横に振り上げる。
「見えた!!」
俺はライラックの懐寸前でジャンプして前転した。目の前にがら空きのライラックの背中と白いマントが見える。
髑髏の短剣で心臓の部分に突きを放った。