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ナイツオブラストブリッジ

 ひんやりとした廊下は静寂に包まれていたが、今まで武器を構えて伏せていた盗賊団の男たちが、おっかなびっくり立ち上がりながらひそひそ話を始めた。それから、一人の男が俺とマルガリータに近づいてきて頭を深々と下げてきた。


「お頭。本当にすいやせんでした。その老騎士がお頭のお仲間だったとはつゆ知らず……。その老騎士は確かある村を俺たちが襲撃した時に頭領がいつもの卑怯な手を使って倒したんでやす。老騎士は最後まで村のために戦ったんでやすが、頭領のずる賢さの方が一枚も二枚も上だったでやす。それ以来、頭領は老騎士を牢へと入れてからどこかへ旅に出たんでやすよ。その後、頭領が旅の途中で死んじまったと、風の噂で聞いたんでやす……」


「そんなに凄い人だったのか? あの老人?!」


 俺は事の次第を知った。

 英雄だったんだ。

 あの老人は……。

 でも、人死にはこれで二度目だ……。


 薄暗い廊下で松明に写るマルガリータは、心底納得したという顔をしていた。でも、俺は見逃さなかった。マルガリータが一瞬涙ぐんだ顔をしたことに……。


「そうだったのね……。ハイルンゲルト……。噂で何度も聞いたわ。元四大千騎士で最強の千騎士ハイルンゲルトはドラゴンからもラピス城を救った英雄だって、大多数に囲まれても冷静さを失うこともなかったって。例え命が掛かっても王女をお守りしたって……。でもね、鬼窪くん。そのハイルンゲルトから千騎士の力を受け継いだんだから、これからもっと激しくなっていく戦闘には必ず参加しないといけないわ。そして、盗賊団の人達もよ」


「ああ……」


 俺は俯いてハイルンゲルトが掴んだ右腕を何度も摩っていた。


「俺たちは構いませんぜ! いつも新しい頭領と一緒にいます!」

「あっしらも!」

「あっしも! 罪滅ぼしでさー!」


 松明の明かりで照らされた凶悪な顔の盗賊団の男たちは、俺のためならいつ死んでもいいという顔をしていた。


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