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エピローグ 転校生
雨の日。教室の窓際に二輪の花が置いてあった。
二人共。
今も行方がわからなかった。
けれども……。
別の遠い学校へと転校したことになっていた。
花を添えるものが、でてきたのはその翌年の新学期の頃。
だが、二人をみんなが忘れ去ることは決してないようだ。
――――
とある学校の教室で。
それは、日差しが強い夏の日だった。
ミンミンゼミの大合唱のとても暑い日。
ガラっと教室のドアが開いた。
担任の先生と一緒に、男子学生が歩いて来た。
黒板の前まで歩くと、男子学生はペコリとクラス全員へ向かってお辞儀をした。
「今日から、みんなと一緒に勉強することになった転校生を一人紹介しますね。名前は……」
「鬼窪です。鬼窪 功一」
「今日は転校生がとても多い日なので。まだ他のクラスにもたくさんの転校生が来ていますからね。みんな仲良くね。でも、くれぐれもいじめはしないでね」