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それと同時に、マルガリータは火炎弾が撃ち放ち、サンポアスティ女王のグレード・パニッシャーが振り落とされた。ヒッツガル師匠の魔法が放たれた。
オニクボと黒の骸盗賊団のいたところの地面が、超広範囲で盛り上がり炎を巻き上げ吹き飛んだ。耳が裂ける爆発音が轟き、地形が変形し、陥没した。それは、このトルメル城の城下町が跡形もなく吹き飛んだほどだった。
だが、そこにはオニクボと黒の骸盗賊団はいなかった。忽然と消えていたのだ。代わりに俺たちの真後ろから大きな笑い声が聞こえた。
「ふっはははははは! どこを狙っているんだい?? なあ、鬼窪くんよお? んで、ダメだぞー、俺の王国を壊しちゃあ。全部俺のだあ。この国も、あの国も、お前の国も」
オニクボが高笑いをしてから、黒の骸盗賊団は何事もなかったかのように、俺たちのいるところの中心目掛けて飛び込んできた。
「鬼窪くん! 味方全員にフルスロットルを掛けたわ! 黒の骸盗賊団たちは私たちに任せて! 鬼窪くんは頭領のオニクボと戦って!」
「味方全員の常時回復は私に任せろ! 例え、毒でも何が何でも治してやる!」
「味方への大きな攻撃は私に任せて、どこか近くの安全な場所へ一時的にピンポイント空間転移してあげる!」
通小町に猪野間、そして、西田が俺の傍から離れる。
俺がさっき放った鋼雲剣から光の矢が爆速で、四方へと飛んだというのに、黒の骸盗賊団たちは、掠りもしなかった。当然、オニクボも……。
空から冷たい水滴が落ちてきた。
それから、雷鳴と共に大振りの雨となった。
辺りは激しい戦闘状態に突入していた。
俺とオニクボだけが、二人っきりでその場に残っている。
「ふっふっふ、雰囲気でてきななあ。なあー、鬼窪くん?」
「オニクボ? どうしてだ?」
「一騎打ちってやつだなあー、なあ、鬼窪くん?」
「……斬る!! こっちから行くぞーーー!!」