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「いくぜーーーーー!! 鋼雲剣!!」
俺は高校生のまま。
鋼雲剣を放った。
強い爆発の後に爆速の光の束が騎士の身体を通り抜けて、そのまま地下から這い出てきた敵までを、貫通する。
衝撃で、腐った床に大きな穴が空いてしまったけど……フルスロットル……恐るべし……。
「ありがとな……猪野間」
「ふふ。ちゃんと勉強してるようね」
その通りだ。
俺は鋼雲剣の使い方を。
体捌きを。
真実の力を身体で覚えていたんだ。
嬉しくなって、少しその場で軽いステップをしてみる。
うん! いつもの調子だ!
いけるぞ!!
「回復は任せろ! 私もいるぞ!」
「私も!」
後ろから、通小町と西田の声が聞こえた。
俺の身体で腐った怪我が淡い光に包まれた瞬間。徐々に治ってきた。
通小町の回復魔法だろう。だが……うん?
淡い光はいつまでも俺を包み込んでいた。
「へえ、嬢ちゃんたちの魔法。凄いな。次は、俺にも掛けてくれよお」
「ダメ」
「まあな」
「ふん。ケチだな……」
「ふふ……今のところ、強化補助魔法はオニクボくん専用なの」
「さっき、回復してやっただろ?」
腐敗していく廊下で俺のクラスメイトが揃った。
大量の白い煙がシュウシュウと消えていく。
「白い煙は西田に任せて、鬼窪とオニクボは全力で戦え!」
通小町の言う通り、白い煙は西田の転移魔法で別の空間へと転移していったのだろう。
これで心置きなくクラスド・エドガーと戦える。