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急にガクガクと足が震えだす。
立っているのもやっとだった。
どうするんだ?
どうするんだ?
どうする?
どうする?
どうする!!
このままじゃ……。
俺は必死に逃げるが、足が遅くなっているため。
さっき倒れたはずの騎士に追いつかれてしまった。
斬撃が来る!!
「ワッ!!」
俺は目を瞑った。
グサッと派手な音がした。
ゆっくりと目を開けると、騎士の首元には髑髏のナイフが突き刺さっていた。一人の男がこちらにのんびりと歩いてくる。
「一部始終は俺も見ていたぜ。さあて、これから、どうすっかなあ……」
「その声はオニクボか? 頼む!! 助けてくれ!」
「あははははははは」
「頼むよー! 今の俺じゃ、鋼雲剣も使えないんだよ!」
「残念だな。鬼窪くん。今まで、その亡霊の力で強くなってたんだろ。だとしたら、ここでは用なしだな」
「……きっと、ソーニャなら国の半分は分けてくれるはずだよ」
「ふっふふふふふ」
「なら、グレート・シャインライン国全部だ!」
「フゥーーーー」
オニクボは目の前の敵に向かって、ニヤニヤと意地悪く笑っている。
「あのなあ……」
オニクボがそう言って、続きを言いそうだった時。
俺の中で何かがチクリと刺さった。
秋野……。
俺はお前すら……。
俺は目を瞑ると、神聖剣を静かに構えた。
「悪いな! オニクボ。やっぱやめだ。俺はここへ来たのは、秋野を助けたかったからだ。きっと、秋野はもう助けられないんだ。だから……せめて、グレート・シャインライン国を……その国の橋だけでも、必ず守ってみせる!!」
俺は覚悟を決めて突撃した。
「ま、待て!! 別に助けないとは……」
オニクボの慌てた声が後ろから聞こえる。
その時、俺の身体が急激に緑色に発光した!
「あなたは決して弱くないわ!! フルスロットル!!」
俺の体内で暴走するほどの力が猛スピードで駆け巡る。