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09

「こりゃ死んでるなあ」

「もうここへ入れてから二年は経ってやすぜ」

「お頭……ここの鍵束でやす」

 

 などと、盗賊団が口々にいうので、俺は恐る恐る牢を開けると、老人にゆっくり近づいていった。マルガリータは廊下で白髪の老人を見張っている。

 牢の中は、廊下と同じ空気だった。冷たい石造りの地面に靴音が響く。


「あ、あの。だ……大丈夫ですか……? わ?!」


 俺は老人が気がかりで怖いけど、仕方がなく小声をかけてみた。すると、右腕をがっしりと両手で握られてしまった!


 なんだ!?


 老人は俺の目をしっかりと見つめてから、一瞬だけ微笑んだ気がした。


 なんなんだよ!!


「おお神よ! なんと幸運な! こんな地の底にも、純粋な心を持った者がおったとわ! きっと、君なら!! ……君にわしの命の全てを託そう! どうかこの力で橋を守ってやってくれ! これは賭けだ! 国の多くの人々の命を賭ける!」


 瞬間、老人の両手から俺の体を凄まじい高熱と激しい光が襲いだした。

 体が丸焦げになるかと思った。


「うわああああああーーー!!」 

「ぐぬぬぬぬぬぬ!!」


 俺と老人は叫び続けていた。

 正直、死を覚悟までした俺は老人の手を力いっぱい振り払おうとした。だが、凄まじい力で掴まれていた。


 体中の光と熱が次第に治まりだしてきた。そこで、やっと誰かが俺の肩に手を置いているのに気がついた。後ろを振り向くとマルガリータだった。

 マルガリータは気遣いの眼差しで俺を見つめていた。 

 目の前の白髪の老人は消えゆく光と共に息絶えている。

 辺りは静かになった。


「う……そんな……」


 俺は項垂れていた。

 マルガリータは何も言わずに同情の目でコックリと頷いた。


「な、なんだったんだ? 今の?」

「大丈夫よ。何もかも……さあ、行きましょ。橋を守りに……」

 

 盗賊団は皆、武器を構えて伏せていたが、マルガリータだけがいつもと同じだった。


 うん??

 なんだか、俺の体から物凄い力が湧き出ている!!


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