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白き輝く希望はグングンと物凄い速さで、海を白と騎士の国まで走っている。
ここ広い作りの操舵室では、オニクボと白き輝く希望の上を、羽ばたいているブルードラゴンを除いてナイツ・オブ・ラストブリッジのメンバーが勢ぞろいしている。そして、周囲を走り回る近衛兵たちが船を操縦していた。他の一般兵たちは、自室にいるのだろう。
俺はグレート・シャインライン国の方角を、強い眼差しをして向いた。
すでに、遥か遠く小さくなったグレート・シャインライン国の本土は、ここからでも真っ白い。
「なあ、ソーニャ? 引き返さないか? やっぱり国王が国を捨てるのはよくないんじゃ……」
「そういうな。これも本国のためなのだ。元凶を叩かなければこの戦いは負ける」
俺は隣のソーニャに話し掛けた。
そういうもんかな?
うーん……今でも俺の心にはどうしようもない焦燥感があるんだ。
???
ふと、気づくと、マルガリータが俺を見つめていた。
何も言わなかったけれど、「これでいいのよ」とマルガリータの真摯な顔が言っているような感じがした。
「うん? あ、あれ?」
周りを見ると、ソーニャとマルガリータの他に、ヒッツガル師匠、ガーネットも俺を見つめていた。
その時、気が付いた。
みんな俺と同じ気持ちなんだ。
勿論、ソーニャでさえ……。
「……わかったよ。みんな」
俺はグレート・シャインライン国の国民を思う焦燥感を心の底へ押し込んだ。
「あなた。後、小一時間で白と騎士の国へ到着するぞ」
「ああ……」
その時、突然。
この船の上を飛ぶブルードラゴンが、サファイアブレスをグレート・シャインライン国の方角へ吐き出した。
超高温の青い炎が海を焼き払う。
激しい波風が発生し、それと同時に物凄い熱が船全体を襲う。
「な! どうしたんだ?! ブルードラゴンが暴れてる?!」
俺はソーニャと甲板へ出ると、そこにはグレート・シャインライン国を襲った。獣たちがモヤモヤとした白い煙を出して、白き輝く希望という名のこの船を腐らせていた。