5年後
俺は明日で五歳になる……はずだ。
一年が365日ならば。
アレからひたすら森の中で生き抜いている。
あの糞女神の、『五歳までは死なないようにする』という言葉に、一縷の望みをかけて、無茶な訓練をした。
というか、生き延びるために行動したと言う方が正しいかな。
産まれたばかりの肉体で無理矢理這いずり、泥水をすすりアリや毛虫、ミミズなどの虫を食べ、ひたすら体の成長につとめた。
その辺の草を食って、何度腹を壊したことか。
魔物の食い残した死骸に残った、僅かな肉を歯で齧りとり、骨を割って髄をすすりと、本当に惨めだった。
2歳になるとゴブリンに石と木の棒で挑み、大怪我を負いながら倒して、ゴブリンの肉を食らった。
火なんて無いから生で食った。
めちゃくちゃ臭くて不味かったが、肉は肉だ。栄養があるはずだ。
僅か三歳で、森に逃げ込んだ盗っ人を夜中に寝静まった時に、盗っ人のナイフを使って殺し、服や金やナイフ、そして火打ち石を手に入れた。
やっと肉を焼けるようになった。
ナイフを手に入れたことにより倒せる魔物も増えたが、だがまだまだ弱い。
オオカミには勝てるようになったが、オークには何をやっても勝てない。
あのクソ女神の言葉通り、大怪我を負っても何故かオークが俺を捨て置いたりして、なんとか死なずに済んでいるが、これではあの糞女神を見返せない。
また、森の木の上で寝たりしているが、不安定な場所ではぐっすり寝れないので、いつも身体から疲れが取れず、フラフラだ。
なんとかしないといけない。
と言う事で、今日はとある祠の地下を探検することにした。
森の最奥にあった小さな祠。
朽ちかけたその祠の中の床に、扉があったのを見つけたのだ。
数日前に見つけて監視しているが、魔物や人が出入りしている気配はない。
その地下が生活できそうならば、そこを拠点にしようと思っている。
今までは地面で寝てたから、夜中に何度もゴブリンに襲われ、ゆっくり寝たことがないからな。
という事で、いざ侵入! お邪魔しまーす。
じめじめしてて、洞穴といったほうが良いな。
どことなく鍾乳洞っぽい。
お、水がある! これで泥水を飲まなくても済むぞ。
どんどん奥に行ってみよう。
ん? なんだよこの地面に落ちた朽ちた縄、ぼろぼろだな。
なんか前世のしめ縄っぽいけど、やはり何かの神を祀ってるのかな?
まあ、祠だしなぁ。
ん? 何か聞こえたような? 聞き間違いか?
「……だ。……ちだ。……こっちだ」
やっぱり聞こえる……
あっちから聞こえる……人がいるのか?
どうする? 行ってみるか!
よし、幾三! じゃなくて、よし行くぞ!
今日はこれで終了です。