第52話「かまってちゃんの幼馴染みは隠したい」
「ねぇ、どういうこと? 私の聞き間違いかな?」
陽の左頬に右手を添え、佳純はかわいらしく小首を傾げながら陽の目を見つめてくる。
しかし、その態度とは裏腹に、全身からは真っ黒なオーラを出しているのではないかと感じさせるほどに怒りをにじみ出していた。
「そういうとこだぞ、俺が嫌なのは」
陽はツゥーと冷や汗が背中を流れるのを感じながら、佳純のだめなところを告げる。
それによって佳純は息を呑み、不服そうに陽の胸に顔を押し付けた。
どうやら我慢をしようとしているらしい。
(一応、成長したのか……?)
佳純が我慢をしようとするとは思っていなかった陽は、佳純の態度を意外に感じた。
佳純はグリグリと顔を押し付けて不満をアピールし始めるが、そんな彼女の頭を優しく撫でて陽は佳純が落ち着くのを待つ。
そして十数分ほど待つと、佳純はゆっくりと顔を上げた。
「なんで、そうなるの……?」
「それは、どういった経緯で一緒に動画配信をすることになりそうなのかってことか? それとも、秋実が動画配信をしようとしていることか?」
「両方……」
佳純はふてくされたように小さく頬を膨らませ、拗ねた声で両方話せと言ってきた。
陽は少しだけ考え、順を追って説明するためにまずは真凛がどうして配信をしようとしたかについて話すことにする。
「秋実に動画配信者を勧めたのは凪沙らしい」
「あの女……!」
陽の言葉を聞き、メラ~と佳純の体を包むように怒りが具現化した――かのように、一瞬陽には見えた。
ちょっとしたことですぐに怒りが頂点に達しそうになるので、陽はやりづらさを感じる。
しかし、それと同時に陽はある違和感を抱いた。
「あの、女……?」
「あっ……!」
陽が違和感を感じた佳純の言葉を口にすると、何かに気が付いたように佳純はハッとした表情を浮かべる。
そして、慌てて言葉を紡ぎ始めた。
「あの女みたいな男めって言った……!」
「いや、そんなふうには聞こえなかったが……?」
「言ったの! そ、それよりも、なんで神風君に言われただけで秋実さんが動画配信者になろうとするの!? おかしくない!?」
慌てる佳純を陽が訝しむと、佳純は別の話題を持ち出してきた。
その態度によって更に陽は佳純のことを疑うが――。
(ここで深く聞こうとすると、絶対に機嫌がまた悪くなるしな……)
今優先しないといけないことがなんなのか。
そして佳純が誤魔化そうとしているということは、その分負い目を感じているはずなので今が説得するチャンスなのではないか、と陽は思った。
ついでに、佳純の態度で答えもわかってしまったので、わざわざ聞く必要がないというのもある。
だから陽は佳純の誤魔化しにわざと乗ることにした。
「あいつ、凪沙に憧れているというか、多分気があるんじゃないかな。だから勧められて受けたんだろ」
「へぇ……!」
真凛は凪沙のことが好きなんじゃないかと暗に陽が言うと、佳純はとても嬉しそうに表情を明るくした。
そんな佳純を見た陽は――
(ほんと、こういうことに関しては単純だな)
――と思う。
昨日の質問にお答え頂き、ありがとうございました!
実現するには数ヵ月かかりますが、
ちょっとあることに挑戦しようと思います!
既に動き出しました!
楽しみにして頂けますと幸いです!
また、応援して頂けますととても嬉しいです(*´▽`*)







