9/78
町へ
あやのは背中まであるストレートロングの黒い髪をゴムで束ねた。
翼はライトブラウンのショートヘアーを書き上げながら何か呟いている。
俺はメガネを拭きながらため息をついた。
それぞれ考え事に集中し始めたサインだった。
「さあ、町を救ってくれるかの?」
老婆は使い古されたローブから、しわがれた手を出した。
「まずは、町の様子を見てみないと話が始まらない」
学はそう言うと、ピカピカになった眼鏡をかけ直した。
「それに、俺たちの服装は目立つんじゃないか」
3人の制服は紺色のブレザーだったが、ローブを身に纏っている老婆の姿とは噛み合わないものがあった。
「服のことは気にせんでええ。外国から来て頂いた勇者様と説明するでな」