生徒会長殿は疲れていた
「それでは門へ」
システィーナはそう言うと学たちをさらに奥の部屋に案内した。
そこには金属で出来た装飾が施された門があった。
「この門では、異世界へは行けないのですか? 」
学が訊ねるとシスティーナは頷いた。
「この門はあくまでこの世界を行き来するためのもの」
翼も訊ねた。
「門は誰でも使えるのですか? 」
「いいえ、術式を知る限られたものだけが仕えます」
「フローレンスも使えるのですか? 」
あやのが聞いた。
「はい、ですが高齢のため、あまり頻繁には使えません」
「そうなんですね」
翼がひそひそ声で学に話しかける。
「ねぇ、システィーナ様って信頼できるのかな? 」
「それはどうだろう。しかし、今できることは信じることだけだ・・・・・・」
「それではロストドラゴンの所まで、聖なる扉よ導き給え! 」
システィーナが空中に魔方陣を書くと、扉が輝いて開いた。
そこに見えたのは、つい先ほどまで戦っていたノースアイランドの風景だった。
「嫌な感じがしますぅ」
ハナが言った。
「ハナ、大丈夫? 」
「はい、がんばります」
そういうと大きな鳴き声とともにロストドラゴンが現れた。
「おう、これは学。システィーナを連れてきたのか? 」
「システィーナ様は殺させない。お前を封印しに来た」
「氷の刃! 」
「炎の剣! 」
あやのと翼が魔法を繰り出す。
けれどロストドラゴンには全く効かなかった。
「光の剣! 」
学がそう言うと、剣が光を放つ。
「その光はまさか・・・・・・ 」
ロストドラゴンがひるんだ。
そのすきに学はドラゴンに変化したハナに飛び乗り、ロストドラゴンの急所を狙った。
「ぐはっ」
わずかに急所にかすったが、ロストドラゴンは身をかわした。
「それが答えか、学 」
ロストドラゴンはそう言うと、炎を吐いた。
「よけろ、皆! 」
かろうじてよけたが、炎の後は焼け野原となっていた。
「もう一度だ、ハナ」
「はい、ご主人様」
もう一度、学はロストドラゴンの急所である首の下を狙った。
今度はうまく切り込むことが出来たが、ドラゴンの鱗は堅かった。
「ぐおぉ」
ロストドラゴンは声を上げ、その場に崩れ落ちた。
「システィーナ様! はやく封印を! 」
システィーナは水晶を掲げると、呪文を唱えた。
「大地の力よ、今一度ロストドラゴンを封じ込めたまえ! 」
水晶が輝き、ロストドラゴンはその輝きに包み込まれた。
「システィーナ様! 」
学が呼びかけると、システィーナは頷いた。
「ロストドラゴンは封じました」
「門は? 」
「そこにあるでは無いですか」
システィーナが指さす方を見ると、天までそびえるような門が立っていた。
「さあ、そこから帰ることが出来ますよ」
「学、ありがとう」
システィーナはそう言うとその場に倒れ込んだ。
「システィーナ様! 」
学はシスティーナを抱き上げた。
「大丈夫ですか? 」
「ええ、少々力を使いすぎたようです」
「大丈夫です」
システィーナはヨロヨロと立ち上がると水晶を門の中央にはめ込んだ。
水晶は光り、門が開いた。
「さあ、学、元の世界に戻りなさい」
「はい、ありがとうございます、システィーナ様」
「みんなによろしくお伝えください」
そして学たちは門をくぐった。
「皆、大丈夫か? 」
「うん、大丈夫だよ」
「はい、大丈夫です」
「大丈夫ですご主人様」
学たちが門を抜けると、そこは生徒会室につながっていた。
「なんだったんだろうね、学」
翼が学に訊ねた。
「異世界に行っていたなんて、だれも信じないだろうね」
翼が手をグーパーしながら行った。
「炎の剣! なんてね」
そう言うと、翼の手から炎が上がって、消えた。
「まさか! 」
学はそう言うと、自分も試しに唱えた。
「光の剣! 」
学の手のひらからも一筋の光が上がり、消えた。
「俺たち、魔法が使えるようになったのか? 」
あやのが首を振った。
「もう、消えてしまったと思いますよ。もう一度やってみてください」
「光の剣! 」
今度は光らなかった。よくみれば、ハナは柴犬の姿で学にすり寄っている。
「私たちどのくらい、この世界を離れていたんでしょう? 」
あやのはこわごわと聞いた。
「まって、黒板の日付はあの世界に行った日のままだよ」
翼が言った。
とりあえず、元の世界に戻れた。
生徒会長殿は疲れていた。
終わり
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