光の剣
システィーナは頷く学を見て微笑んだ。
「顔を上げなさい、学。貴方にその気が無いことは分かります」
「システィーナ様・・・・・・」
「しかし、異世界に帰りたいというのならば、こちらにも条件があります」
「条件、ですか? 」
「こちらへ来なさい」
学たちはシスティーナについていった。
広間から奥の間へと移動する。城は飾り気が無く質実剛健という感じだった。
「こちらです」
「これは? 」
部屋の真ん中には、一振りの剣が岩に刺さっていた。
「光の剣です。学は光魔法をつかえるとフローレンスから聞いています」
いつのまにそんな情報が流れていたのだろうと、学が疑問を抱いている間にも話は進んでいく。
「学にその剣が抜ければ、ロストドラゴンを倒すことも出来るでしょう」
「ロストドラゴンを倒す? 」
「ええ、生態系が乱れているのはロストドラゴンが目覚めてしまったからです。もう一度封印出来れば、ノースアイランドにある門が使えます」
「門というのは異世界につながる門のことなのか? 」
「ええっ」
翼とあやのが驚いた。
「はい、その通りです」
システィーナは落ち着いた調子で言葉を続ける。
「門さえ使えれば学たちを元に居た世界まで送ることができます」
「本当か? 」
学が問いかけるとシスティーナは無言で頷いた。
「それなら、剣が抜けるか試してみよう」
学が剣に手をかけると、剣が輝いた。
「! 」
学が力を込めると、剣がわずかに動く。
「がんばって、学! 」
「学さん! 」
学は全力で剣を引き抜こうとすると、学の全身が光った。
そして、ついに剣はぬけた。
「はぁ、はぁ」
学は剣を見つめた。もう輝いては居なかった。
「やはり学が光の勇者だったのですね」
システィーナはそれだけ言うと黙って学を見つめた。
学は光の剣を装備するとシスティーナに言った。
「ロストドラゴンを倒すと言ったが、具体的にはどうすればいい? 」
「光の剣でロストドラゴンの首の下を刺せば、後は私が封印の呪文を唱えます」
システィーナはそう言うと、水晶を見せた。
「この水晶は封印の魔法によって作られた物。ロストドラゴンをこの中に封印します」
そして、学たちは再びロストドラゴンの所へと旅立つことにした。